“うつヌケ”エディターが実践、メンタル安定術
2022.3.22 @okishimagazine
長引くコロナ禍で誰もがストレスフルな生活を強いられている今、著しい気分の落ち込み・気力減退・倦怠感・食欲低下・不眠など、うつ状態ともいえる心身の不調を抱える人は少なくありません。“自分らしさ”は、健全な心身をキープしてこそ実現可能。専門医のアドバイスをもとに、うつ状態から抜け出し乗り越える簡単メソッドを探ります。
自分で自分を守り、自分らしく
うつ病には、果てしなくダークモードな抑うつ状態に支配される“大うつ病性障害”と、そこに、非常に元気でなんでもできると思い込む無双状態(躁)が加わって2つの極端な気分の波が現れる“双極性障害”の2タイプがあります。
前者はさらにメランコリー型・非定型・季節型・産後型などに分類する考え方があり、本記事では主に“大うつ病性障害・メランコリー型(+少しだけ季節型・冬)”なうつ状態の対策を考えます。
具体的な症状としては、一日中気分が落ち込む・何をしても楽しめない・眠れない・食欲低下(≒短期間での体重激減)といった著しい心身の不調が挙げられます。筆者の場合は、臨床心理士によるカウンセリング・専門医による診察・投薬治療と積極的な休養でなんとか克服し、社会復帰を果たしました。しかし、発病から8年経った今でも、ふとしたきっかけでズーーーンとうつ状態に陥ることがあります。
病状を深刻化させないために、筆者が実践している“うつヌケ”メソッドをご紹介します。
元気なエディターも罹患した“うつ”の病状とは?
1.発症の原因から離れ、ひたすら休む
うつ病を罹患すると「何もしなくていいから、まずはとにかくよく休む(=眠る)ように」と指摘されます。
発症の原因と思われる環境(職場がや学校など)から体と気持ちをいったん隔離し、自宅やリラックスできる環境で体をトコトン休ませるのがベスト。
医師から処方された抗うつ薬類も治療に直結します。ただし“日光が当たる朝起きて、空腹時に食事をとり、夜暗くなったら眠る”という基本的な生活リズムだけは最低限遵守するのが早期克服のコツです。
2.意識的に太陽の光を浴びる
日光とうつ病は強い関わりを持っており、日光を浴びると「セロトニン」という脳内物質が分泌され、感情や気分をコントロールし、体内時計を調整して心身を安定させる役割を担っているそう。セロトニンが不足するとうつ状態に陥りがちになり、睡眠障害・免疫力の低下・認知機能の衰えなどさまざまな不調の原因に。
とくに日照量が不足する冬は、日なたを選んで移動したり、カーテンを開けて室内に自然光を取り入れたりして、体に日光の温もりを感じるように意識すると、体内時計が正しくリセットされ、不調の改善に直結します。レッツひなたぼっこ!
3.自分で自分を褒めまくってあげる
うつ状態になると、物事の見方が否定的になって、自己肯定感が著しく低下し、何をしても楽しめなくなります。
そこで“できない”自分を責めると悪循環。「ご飯をちゃんと食べられた!」「台所のシンクに溜まっていた食器を洗えた!」「トイレ掃除ができた!」「メールを返信した!」など、生活でも仕事でも、小さな達成感を地道にコツコツ積み重ねるのが大切。いつの間にか今日もなんとか生き延びていて、それが明日へとつながります。
また、自分をないがしろにする失礼な人と一緒にいると自己嫌悪感が高まる一方なので、速やかに全力で離れてください。
職場や家庭内で距離を置くのがどうしても無理な場合は、第三者に相談したり、ときには異動・転職・離婚を検討するなど、自ら環境を変えるもいち手段です。
4.温めと潤いを忘れない
外出時も室内でも暖かく装う、適切に暖房を使用する、入浴はシャワーで済ませず湯船に浸かるのがオススメです。うつ状態のときは入浴行為自体ハードルが高いので「お風呂から上がったらおやつを食べる」など、何かしらご褒美を用意するとうまくいくはず。
お湯を張った洗面器などに足や手を突っ込む手浴・足浴だけでも効果てきめん。とくに、首・手首・足首など“首”と名のつく体のパーツを温めると、体全体にあっため効果が行き渡ります。
同様に、自分にとって快適な湿度をキープするのも大切。身体的にカッサカサだと心までささくれてきます。
意識的に水分を摂る(温かいお茶や白湯など、自分の体に染み渡る感覚が味わえるものがベスト)化粧水やクリームなどで肌を保湿する・加湿器をつける(お気に入りのアロマオイルなどと併用すると尚可)・室内に観葉植物や生花を飾るなど、さまざまな方法があるので試してみて。
そしてやり遂げたら「ちゃんとできた、エラい!」と自分を褒めてあげるのを忘れずに。
5.意識的に体を動かす
ひどい肩こりや頭痛も代表的なうつの症状のひとつ。自覚するくらい凝り固まっている体のパーツは、“気持ちいい”と自分が感じる程度でOKなので、意識的に伸ばしたりゴリゴリほぐしたりすると血流が整い、スッキリと感じられます。
ちなみに最も効果てきめんといわれるのが散歩! ストレッチもラジオ体操も面倒に思う筆者の場合は、歩数系連動型ゲームアプリ「ピクミンブルーム(PikminBloom)」を相棒に、なるべく徒歩で移動するようにしています。歩くたびにピクミンがキャアキャアいいながらゾロゾロついてくる様子が可愛くて仕方なく、また歩数が成果として数値で見えるので、歩く(≒運動する)モチベーションが爆上がりするのでお気に入りです。
「自分を守れるのは自分だけ」と心得て
うつは、精神的・身体的ストレスが原因となって、脳がうまく働かなくなっている状態。脱するためには、まずは自分で自分を守り、労る手段をすみやかに講じることが重要です。
また、心身の不安や悩みを何でも相談できる主治医またはカウンセラーを見つけることも、心身の不調克服の第一歩。人生のよきアドバイザーとなるでしょう。
1980年九州大学医学部を卒業後、九州大学 心療内科 アレルギー研究室に勤務。2001年、「銀座木原クリニック」を開設。2007年に日本橋へ移転、「日本橋木原クリニック」に名称変更。アレルギー疾患の心身医学的治療を専門とし、一般内科的疾患、生活習慣病(いわゆる成人病)などの慢性疾患、さらにストレスが特に強く関与した心身疾患を持つ患者に対し、心身両面からの適切なアプローチと治療を行っています。 オフィシャルサイト:https://www.ginza-kihara-clinic.or.jp/
編集&ライター歴17年目。宝島社『InRed』『GLOW』、ハースト婦人画報社『ELLEgirl』を経て独立。雑誌や書籍などのペーパーメディアと、WebやSNSなどのオンラインメディアをハイブリッドで企画・制作・運用を強みとしている。
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