イチジクには胃腸を助ける成分が豊富! 「無花果」と書く理由は? おすすめの食べ方も栄養士ライターが解説
2024.9.2 野村ゆき
イチジクは江戸時代に日本に伝来した当初は薬用として栽培されていたとされるほど、栄養価が高い果物です。この記事では、イチジクの栄養やおすすめの食べ方を紹介します。
なぜイチジクは「無花果」と書くの?
つぶつぶの食感やモモに似た上品な甘さが特徴のイチジク。品種や栽培方法によって夏の終わりから秋に収穫する秋果と、越冬して翌年の初夏に収穫する夏果があり、そろそろ秋果が旬を迎えるころ。江戸時代に日本に伝来した当初は薬用として栽培されていたとされるほど、栄養価が高い果物です。この記事では、イチジクの栄養やおすすめの食べ方を紹介したいと思います。
実の中に隠れて花が咲くイチジク。
私たちが果実だと思って食べている部分は、実は花。食感の特徴でもあるツブツブこそがイチジクの花で、実の中に無数の白い花をつけて肥大化します。外から花が見えないため「無花果」という字があてられたとか。優しい甘み×やわらかな酸味は果糖(フルクトース)とクエン酸によるもの。果糖とクエン酸の相乗効果で体内で素早くエネルギーに変わり、疲労回復を促してくれます。夏の終わりの疲れにぴったりの果物といえそうです。
イチジクの栄養は?
イチジクの特徴は、整腸作用を促す水溶性食物繊維のペクチンが豊富であること。また、むくみ改善や高血圧の予防に役立つカリウムをはじめ、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれています。2つに割るとハートのように見える赤い部分には、抗酸化作用があるポリフェノールのアントシアニンが含まれ、血行の改善や視覚機能を高める機能性が注目されています。
ドライ(乾燥)イチジクになるとカリウムと食物繊維が約5倍に増加するため、一度に食べ過ぎるとお腹がゆるくなることも。
イチジクのおすすめの食べ方
イチジクの軸を切ると出てくる白い乳液のようなものは、たんぱく質分解酵素の「フィシン」。イチジクの皮をむいたり、口にしたりしたとき、人によっては指先や唇に違和感やムズがゆさを感じるかもしれません。
さらに、実の部分には脂肪を分解するリパーゼや、でんぷんを分解するアミラーゼなどの消化酵素も。そのため、胃腸の働きが弱っているときにイチジクを食べると、消化を助けてくれます。消化酵素は熱に弱い性質があるので、デザートとして生食したり、サラダ感覚で料理するのが効果的です。生ハムやモッツアレラチーズと相性が良いので、サラダやカルパッチョ風にしていただくのもおすすめです。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、三輪正幸監修『からだにおいしい フルーツの便利帳』高橋書店,2015、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018
【画像】生ハム×イチジクは相性◎ 知っておきたいイチジクの《おすすめの食べ方》とは?(8枚)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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