大好き夏フルーツ【桃】栄養ってある?“お見舞いギフト”に選ばれる納得の理由とは? 栄養士ライターが解説
2024.8.7 野村ゆき
たっぷりの果汁をふくみ、芳醇な甘い香りが幅広い世代に人気の桃。強い甘みを感じるだけに、「カロリーが高そう」「太りやすいのでは?」という声も。この記事では桃に含まれる栄養ポイントについて解説したいと思います。
桃は意外と低カロリー!
たっぷりの果汁をふくみ、芳醇な甘い香りが幅広い世代に人気の桃(もも)。夏のフルーツの中でも特に大好き!という人も多いことでしょう。一方で、強い甘みを感じるだけに、「カロリーが高そう」「太りやすいのでは?」という声も。この記事では桃に含まれる栄養ポイントについて解説したいと思います。
桃の豊かな甘みは糖質の一種である果糖(フルクトース)によるもの。天然に存在する糖の中で最も甘く、ショ糖(砂糖の主成分)の約1.5倍の甘さを感じると言われています。それほど強い甘みがある桃ですが、エネルギーは100gあたり38kcal(キロカロリー)。おにぎり1個分(100g)170kcal(キロカロリー)と比べると、さほど高くないことがわかります(※1)。
果糖は体内で素早くエネルギー源になる性質があり、酸味は控えめながら疲労の回復を促す働きがあるクエン酸やリンゴ酸も含んでいます。桃は古来より邪気をはらい、不老長寿をもたらす力があるとして珍重されてきました。体力と気力の回復を願うお見舞いギフトや暑気払いのお中元に適したフルーツと言えそうです。
(※1)参照::『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部より/もも 白肉種 生:可食部100gあたりのエネルギー38kcal、おにぎり1個100あたりのエネルギー170kcalを比較
食物繊維のペクチンが“腸活”をサポート
とろけるような果肉には、食物繊維のペクチンが豊富に含まれています。水溶性のペクチンには整腸作用があり、便秘の改善を促す働きがあります。また、体内の水分を調整するカリウムをはじめ、微量ですが鉄やマンガンなどのミネラルもバランス良く含まれています。特有の甘い香りの成分はジャスミンの花にも含まれているラクトン類によるものです。
なお、夏の日焼け対策として気になるビタミンCは、桃1個分(正味重量215g)に17mg含まれ、男女12歳以上の1日の推奨量(100mg)の約1/6に相当します(※2)。
(※2)参照:推奨量:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』、桃1個の正味重量(果皮と種子を除いた重量):奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部より
果皮の近くにポリフェノールのカテキンも!
桃の語源でもあるウブ毛(毛毛:モウモウ=モモ)が生えた皮の近くには、抗酸化作用が注目されているポリフェノールのカテキン類が含まれています。桃を食べると時に苦みや渋みを感じることがあるのは、そのためです。皮をむいたまま、しばらく放置すると褐変(変色)するのもポリフェノールによるもの。食べる直前に切るようにしましょう。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、三輪正幸監修『からだにおいしい フルーツの便利帳』高橋書店,2015、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018
【画像】「今まで“もったいないこと”してた~!!」これがパーフェクトな【桃のむき方】です!(やり方)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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