LASISA

Search

授業料無償化じゃ足りない…!「制服代が払えない」「親の食事を減らす」貧困家庭の【卒業・入学】事情が明らか

2025.3.19 LASISA編集部

国際NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、「2025年経済的に困難な状況にある世帯への中高入学に関するアンケート調査」を実施。卒業・新入学にかかる保護者の経済的負担感を調べ、その結果を発表しました。

経済的に困難な家庭の卒入におけるお財布事情

高額な出費に食事を削って捻出するケースも高額な出費に食事を削って捻出するケースも

 現在、国内で子どもの貧困が社会問題となり、また物価高騰も止まりません。国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の世帯のことを貧困家庭といいます。3月~4月は卒業・入学シーズン。その卒入に該当する学年ではいつもと違った費用が家計にのしかかってきます。一般的な所得水準の家庭でもキツイと思うこの時期、貧困家庭なら、さらに苦しい状況なのではないでしょうか。

 国際NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、「2025年経済的に困難な状況にある世帯への中高入学に関するアンケート調査」を実施。卒業・新入学にかかる保護者の経済的負担感を調べ、その結果を発表しました。

 調査は、2025年1月、全国47都道府県の保護者または親族、教員、支援団体などの支援者ら2135人を対象に行われたものです。

 卒業・新入学準備の際に、費用の捻出が最も難しい費目は、中高ともに「制服代」でした。前年比最も増加したのは「パソコン・タブレット代」で、新中1では21.1%(前年比4ポイント増)、新高1では56.3%(前年比9ポイント増)でした。

 また、その費用を捻出のために行うことについて、「他の生活費を削る」と回答した保護者は、約6割(新中1:63.5%、新高1:59.9%)でした。そのうち、「親自身の食事量を減らしている」と回答したのは、71.3%となり、前年比約7ポイント増加しています。

 また、家族・親族・友人・知人からの借入やクレジットカードによるキャッシング、銀行・消費者金融などからのカードローンを利用。同割合は、新中1のいる世帯よりも、新高1のいる世帯の方がより高い結果でした。さらに、卒業・新入学準備にかかる費用を借入などで捻出する世帯は、新高1で「11万円以上」の借入を約6割(58.3%)がしていて、「1年以上」の返済期間にしている世帯が約6割(59.7%)。昨年と比較し、借入金額は約5ポイント増加、返済期間も約9ポイント増加しています。

 経済的に困難な状況にある世帯において、卒業・新入学にかかる費用が家計に大きな負担を及ぼしていることが浮き彫りになりました。

 2024年に実施した調査と比較しても、借入金額や返済期間が新高1の子を持つ世帯で特に増加傾向にあり、「高校授業料無償化」の政策だけでは支援が足りない実状が明らかとなっています。

調査を行ったセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、入学について、「中学校については、就学援助制度の入学準備金の増額やさらなる早期支給を求める。

高校については昼食費や通学費などへの補助を訴える声も寄せられた。高校生等奨学給付金の増額など、実態に応じた支給金額の見直しが求められる。このほか、中学入学時については社会福祉協議会の母子父子寡婦福祉資金や生活福祉資金の貸付対象外であることへの疑問も寄せられており、中学入学時も対象とする制度改善が必要である」と、提起しています。

また、「高校入学にあたっては義務教育にある就学援助制度の入学前支給にあたる支援はなく、経済的に困難な世帯では新入学に必要な費用の捻出が重くのしかかる。

2025年2月現在、高校生等奨学給付金については中間層への対象拡大が国会で議論されている。それ自体は歓迎すべきだが、今回の調査結果からも、高校入学前の段階で給付を迅速に行うことが当事者から強く求められている」と、高校入学前の準備金の創設について提言しています。

tags

この記事の関連タグ

recommend

こちらもおすすめ