意外とローカロリー【栗】の栄養ポイントは?おすすめの保存方法は?【栄養士ライター解説】
2024.11.7 野村ゆき
栗は、でんぷんを豊富に含み、貯蔵することにより糖分が増すため、日本では縄文時代から栄養食や天然の甘み資源として重宝されてきました。栗に含まれる栄養ポイントと保存方法を解説します
意外と低カロリー!?「栗」の栄養ポイント
栗ごはん、焼き栗、蒸し栗…。秋になると、栗の甘くて、ほっくりとした味わいが恋しくなりますね。でんぷんを豊富に含み、貯蔵することにより糖分が増すため、日本では縄文時代から栄養食や天然の甘み資源として重宝されてきました。この記事では栗に含まれる栄養ポイントと保存方法を解説します。
甘みを感じることから、高カロリーのイメージがある栗。実際は、どうでしょう。生の栗1個14gあたりのエネルギーは21kcal(キロカロリー)、甘栗1個5gあたりのエネルギーは10kcalで、同じ種実類のクルミ1粒6gあたり43kcalと比較すると意外に低め(※1)。また、栗の主成分は糖質を含むでんぷんですが、糖の代謝を助けるビタミンB1やナイアシンも含まれているので効率よくエネルギーとして代謝される特徴があります。
間食のカロリーは1日200kcalまでが目安とされていますので、食べ過ぎない限りは心配しなくても大丈夫そうですね。(※1)参照:奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部,2022、栗と甘栗の重量は鬼皮や渋皮を除いた正味重量の目安
熱に強いビタミンC、ルテインやタンニンなどの抗酸化成分も豊富
そのほかに、栗の実にはビタミンCが豊富に含まれ、でんぷん質に包まれていることによって加熱しても壊れにくい利点があります。また、ミネラルの一種で骨の成長や生殖機能を助けるマンガン、正常なDNAをつくる手助けをする葉酸(ビタミンB9)、食物繊維も多く含まれています。さらに、実の黄色はカロテノイド色素によるもので、眼の健康を守るルテインを多く含んでいます。渋皮にも強い抗酸化力があるポリフェノールのタンニンが含まれているので、栗をむいて料理する際は渋皮を少し残すくらい粗くむく方が栄養アップになります。
栗は皮付きのまま冷凍保存またはチルド保存がおすすめ
生の栗は鬼皮(かたい外皮)に覆われていても乾燥しやすく、常温のまま置いておくと風味が抜けてしまいます。すぐに調理しない場合は、鬼皮付きのままジッパー付き保存袋などに入れ、できるだけ空気を抜いて冷凍保存するのがおすすめ。3カ月程度の長期保存が可能です。皮ごと冷凍した栗は、そのまま熱湯に入れて弱火で50分程度ゆでれば、ゆで栗として食べられます。また、数日内に食べる場合は、皮付きのままポリ袋などに入れて冷蔵庫のチルド室(0℃前後)で3日程度寝かせると糖分が増して甘くなる利点も。チルド室のスペースに余裕があれば、お試しください。続編の関連記事では、栗にまつわる豆知識や皮をむきやすくするコツを紹介します!
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性- 第2版』東京化学同人、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、沼津りえ著『食材保存大全』主婦の友社,2021
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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