教員とギャップも?過去最多の「不登校」保護者が考える“学校を休むようになったきっかけ”調査結果が公開
2023.11.16 LASISA編集部
特定非営利活動法人「多様な学びプロジェクト」は、不登校当事者の実態とニーズを把握するための調査を2023年10月6日(金)から実施し、10月13日(金)時点の集計結果を速報として発表しました。
子どもが学校に行かなくなったきっかけは?

文部科学省が、2023年10月4日に公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、2022年度の全国の小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人であり、前年度から22.1%増加し、過去最多でした。
特定非営利活動法人「多様な学びプロジェクト」は、声が届きづらい不登校当事者の実態とニーズを把握するための調査を、2023年10月6日(金)から実施し、10月13日(金)時点の集計結果を速報として発表しました。
調査は、さみだれ登校や不登校のこどもを育てている保護者および元保護者を対象に行われ、10月13日時点で集まった582人のデータを集計しました。
「お子さんが一番最初に学校を休むようになった(休みがちになった)きっかけは何だと考えますか」という質問に対し、
「先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かったなど)」が最多で、261人(33.5%)でした。
第2位は「学校システムの問題(価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないなど)」で、回答者数は204人(26.2%)でした。
不登校になったきっかけやその時の様子について、「先生が、いつもピリピリしていて、怒鳴る場面もあり、息子はおびえたり、先生の理不尽な言動に怒ったりしていました」(小6児童の母・小1から不登校)、「担任の先生が余裕のない状況の中で、帰りの支度や物事の切り替えがうまくできない息子に対して、小突いたり手を捻ったりと手をあげることが生じました」(小5児童の母・小2から不登校)、「学校が忙しすぎる。分刻みのスケジュールで休み時間も着替えや移動に追われ、トイレに行くのがやっと。とにかく急がされるので子供が疲弊している。先生が忙しすぎてその大変さが子供にも伝わる」(小5児童の母・小4から不登校)といった回答が寄せられました。
「現在子どもへの対応または子どもの将来についてどのくらい悩んでいますか?」という質問に対し、「すごく悩んでいる」と「悩んでいる」、「まあまあ悩んでいる」と回答した人が86%(501人)という結果でした。
また、「お子さん本人にとって適切な居場所(学校含む)に出会っていると思いますか?」の設問には「そう思わない(27%)」、「あまりそう思わない(19%)」の合計が46%で、「すごくそう思う(10%)」、「まあまあそう思う(23%)」の合計を上回る結果でした。
「多様な学びプロジェクト」は、「文部科学省発表の『令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』の教員回答の1位が「(子ども自身の)無気力・不安」であり、保護者と教員間でギャップがあることがわかりました」とコメントしています。
さらに、「(保護者からの)コメントにもあるように、先生たちの苦しい状況が子どもたちの不登校に影響を及ぼしている様子が垣間見えました。
文部科学省の『令和3年度 公立学校教職員の人事行政状況調査』結果によれば、精神疾患を理由に病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多の5897人(全教育職員数の0.64%)にのぼっており、先生をバックアップする体制の拡充が急務では」と指摘しています。
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