【家賃の値上げ】“拒否できる”は本当か? ずっと拒否してたら「追い出される」のか? FPが解説
2024.7.26 奏かえで
賃貸物件に住んでいる人であれば、一度くらいは遭遇する可能性のある「家賃の値上げ」。これを拒否できるというのは本当なのか? 拒否し続けていると部屋を追い出されてしまうのか? 気になる疑問を、ファイナンシャルプランナーの筆者が解説します。
家賃値上げに必要な“条件”とは?
2020(令和2)年の国勢調査によると、持ち家の割合は61.4%、民営などの借家は37.4%。日本人の4割近くが賃貸に住んでいるため、「家賃の値上げ」を経験する人は少なくありません。ある日突然届く「家賃の値上げ通知」。これを拒否できるかどうかについてご存じですか? 本稿ではファイナンシャルプランナー(FP)の筆者が、家賃の値上げを拒否できるか否か、また値上げ通知が届いたときの具体的な対処方法を解説します。
家賃は借地借家法に基づき、貸主と借主との契約によって決まります。契約は当事者同士の合意によって成立するので、貸主が一方的に家賃を値上げすることは許されていません。つまり、家賃の値上げに無理に応じる必要はないのです。例えば、次の書面が届いたとします。
「誠に勝手ながら、家賃を◯◯円に改定させていただくことになりました。本改定は、建物の維持管理費や物価の上昇等を考慮したものでございます。下記の書類に署名と印鑑を押して返送してください」
このように書かれていても、こちらが合意しない限り貸主は家賃の値上げはできません。家賃の値上げを契約更新の条件にされることがありますが、この場合も従う義務はありません。値上げを拒否しても契約は自動的に更新され、これまで通り住み続けられます。
ただし、中には家賃の値上げに関する特別なルールが契約書に記載されていることがあります。この場合、もし家賃の値上げが相場と比べて適正な範囲内であれば、借主はその値上げに応じなければなりません。
家賃の値上げ通知が届いたら、まずは賃貸契約書に家賃の値上げについて特約事項が書かれていないか確認しましょう。
ファイナンシャル・プランナー、作業療法士、ライター 奏かえで
健康・マネー系ジャンルを中心にライターとして活動。現役の作業療法士で回復期病棟を経験しつつ、介護老人保健施設に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランナー(FP)・簿記の資格を持ち、新旧NISA・iDeCoへの長期投資を継続中。専門性を生かした記事執筆が強み。
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