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「なんだかやる気が起きない」もしかして【五月病】…?症状と原因、乗り越え方を心理カウンセラーが解説

2024.5.9 佐藤城人(さとう・しろと)

「五月病」は正式には病名ではありません。日本予防医学協会は「医学的な病名ではなく、5月の連休後に憂鬱(ゆううつ)になる/なんとなく体調が悪い/会社に行きたくないなどの軽いうつ的な気分に見舞われる症状のこと」と定義しています。五月病について心理カウンセラーが解説します。

はじめに

「五月病」のイメージ「五月病」のイメージ

 今回は、心理カウンセラーの立場で「五月病」について考えます。疑問や不安を感じる際、その原因が分かると、安心を得ることができます。今回の記事の目的は、あくまでも安心を得ることが目的です。そのため、細かく述べるところもありますが、それは不安を煽ることではなく、あくまでも分かるため、とご理解ください。 記事の最後には「五月病」シンプル対策についてお伝えします。どうぞ、最後までお読みください。

※ ※ ※

五月病とは?

 「五月病」という言葉を、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。実は、正式には病名ではありません。あくまでも俗称です。日本予防医学協会では「医学的な病名ではなく、5月の連休後に憂鬱(ゆううつ)になる/なんとなく体調が悪い/会社に行きたくないなどの軽いうつ的な気分に見舞われる症状のこと」と定義しています。
(参考:環境の変化が引き起こす『五月病』とは? | 健康づくりかわら版 )

 図1/筆者作成 図1/筆者作成

 図1をご覧ください。私は個人的にAとBの両方の捉え方ができると考えています。

 Aは「病気の手前の状態」を表しています。病気ではなく、その一つ前の心身の不調な状態(未病)です。 例えば、「今日はだるいな、会社に行きたくないな」という状態と、「何日も欠勤が続く状態」この違いです。ただし、この未病を放置してしまうと悪化して何かしらのメンタルの病として発症します。

 Bは、「既に病気を発症している状態」を表しています。本人は気づいてはいないが、既に何かしらのメンタルの病を発症している場合です。例えば「今日はだるいな、会社に行きたくない」状態で出勤。それでもだるいので、会社の産業医に見てもらったところ、病名が診断されるケースです。

 読者のみなさんが会社員であると想定します。例えば、あなたは自分の状態をBの赤丸の状態と思っていたとしても、上司はAの青丸と捉えていたとします。これでは、お互いに誤解が生じてしまうことでしょう。五月病に関して、あなたが職場や学校で、「会話がかみあっていない」「変に誤解されている」と感じるときは、相手がAかBの、どちらで捉えているのか、お互いの誤解を回避するためにも確認をした方が良さそうです。

 五月病を厳密に考えるのならば、Aの青丸とBの青丸の2つの状態に分けることができるでしょう。ただ、メンタルの状態は目に見えるものではありません。また、病気は「早期発見・早期治療が大事」といわれます。あくまでも病名の診断は医師の範疇です。調子が悪いなという場合は、抱え込まずに専門機関に相談することをお勧めいたします。

五月病の4つの要因

五月病のイメージ五月病のイメージ

(1)環境の変化

 環境の変化とは、新たな人間関係を築くことや、既に構築されている人間関係の中に後から入るなど、さまざまな場面が想定できます。また、広い意味で捉えるのならば、季節の変わり目など自然の変化なども含めることもできるでしょう。このような変化に対して、うまく順応・適応することができない状態です。

(2)期待とのギャップ

新しい環境に進む際、何かしらの期待も伴うことが多いのではないでしょうか? 図2をご覧ください。

図2/筆者作成図2/筆者作成

 現在の自分と期待と間にはギャップが生じます。このギャップを埋めようして、なかなかうまく埋められない場合、期待は焦燥感や失望感へと変わっていきます。

(3)バーンアウト(燃え尽き症候群)

「バーンアウト(燃え尽き症候群)」とは、心身の過度な疲労により、それまで勉強や仕事などに打ち込んでいた人が燃え尽きたように意欲を失い、社会生活に適応できなくなる状態をいいます。五月病で捉えるのならば、受験や就職など、大きな目標を達成したことにより生じるバーンアウトです。前項(2)では期待とのギャップを挙げました。この逆の「やりたいことを見いだせない」状態です。目標の達成により燃え尽きてしまい、「授業に行きたくない」「やる気が出ない」という状態です。

(4)自律神経の不調

 五月病とは別に、四月病と呼ばれる症状もあります(五月病と同じで正式な病名ではありません)。この四月病は、春先の季節の変わり目による自律神経の乱れが主な要因といわれます。ただ、4月までは四月病、5月からは五月病と明確に区別できるものではありません。自律神経の不調が5月に入り、悪化したと十分に考えられます。

次のページ……五月病のセルフチェック

心理カウンセラー・心理セラピスト 佐藤城人(さとう・しろと)

心理カウンセラー・心理セラピスト。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには社交不安障害や愛着障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。インナーチャイルドの回復プログラムの中で「正しさよりも心地よい生き方」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。

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