原始感覚を体感できる…【暗闇体験】とは? 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」忙しい現代人に需要があるワケ
2024.12.20 LASISA編集部
目まぐるしいような忙しさに振り回されている私たちが、普段気付けない感覚を味わわせてくれる「暗闇体験」について解説! 一体どんな暗闇体験が注目を集めているのか…。
原始感覚を体感できる「暗闇体験」
「暗闇体験」という言葉を知っていますか? その名の通り、視界を完全に閉ざし、目の見えない世界を体験するというものです。本記事では、普段から目まぐるしい日々を送る私たちに安らぎを与えてくれる、暗闇体験について解説します。体験者のコメントも集めたので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
暗闇体験「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」とは、普段目を使わない視覚障害者が特別なトレーニングを積み、純度100%の暗闇をアテンドしてくれるツアーのこと。ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1988年のドイツにおいて、哲学博士アンドレアス・ハイネッケが発案者となって考案されました。世界47ヶ国以上、900万人を超える体験者がおり、日本には1999年11月に入ってきたソーシャルエンターテイメントです。
とある学生向けプログラムでは、視覚障害者が歩行する際に使用する杖「白杖(はくじょう)」の使い方から学びます。そして、みんなで照度ゼロの暗黒へと足を踏み入れるのです。明るい部屋から一気に暗い部屋へと入ると、すぐ隣にいる人すら見えなくなります。味わったことのない緊張感の中、勇気を出して一歩踏みだす。怖さの中から、ほかの人と助け合うために知恵を出し合う。五感が研ぎ澄まされていき、問題を解決するための知恵が生まれていきます。人と人が信頼しあう、その根本的な価値観がどれほど尊くて大切なのか。それに気づきを与えてくれるのが、ダイアログ・イン・ザ・ダークなのです。
暗闇体験のメリット
暗闇体験を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。一つは、“目の見えない人への理解につながる”ということです。それだけでなく、暗闇に放り出されることにより、人間が本来備わっている五感を再発見できます。視覚以外の嗅覚・味覚・触覚・聴覚、そして想像力が鋭くなっていき、どれほど豊かな世界で生きているかが分かるようになるでしょう。
グループで暗闇体験を行えば、協力性や信頼関係が育まれます。暗闇の中が安心するという人もいますが、多くの人は闇を怖がります。自分以外の人間がいる、仲間がいるという安心感は、暗闇体験ならではの感想です。
複雑な人間関係の中では、生きづらさややりづらさを抱えている人は少なくありません。それが、暗闇の中で一度リセットされます。緊張感の中、自分と向き合ったり、仲間と対話したりする中で、人との付き合い方だけでなく、自分自身との付き合い方を学んでいくのです。
さまざまな「暗闇」を体験した人のコメント
暗闇体験は、冒頭に紹介した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」だけではありません。今や、暗闇を使ったさまざまなエンターテイメントがあります。例えば、幻想的な森を使った光と音の体験や、暗闇の中でお寺を巡る「お戒壇巡り」、暗闇でのライブなど、人間の本能を刺激する体験が多くあります。
実際に暗闇体験を体験した人は、「『他人を感じる』ことがとても大切、それに気付かされた」「暗闇というフィルターを通して、お互いの在り方や、大切な存在だということに気づけた」「視界がなくなり耳が冴えて、音が研ぎ澄まされていく」「真っ暗闇の中を手探りで進んで、何も見えなくて落ちる感覚になって怖かった」などがありました。
何を感じ取れるかはその人次第ですが、「当たり前に今、目の前にあるもの」がなくなった時に、人は何が大切だったかに気づくのでしょう。
【まとめ】
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、学生向けのプログラムや社会人向けのプログラムなどがあり、それぞれ「貴重な体験だった」と好評を得ています。ほかにも、ライブやお寺など暗闇を感じる体験ができる場所は広がりを見せています。多くの雑多な声や情報に疲れ、惑わされることが多い現代において、暗闇体験は静かな安らぎを与えてくれるものになっています。
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