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こんなにあった!出世魚「ブリ」の名前いろいろ…カンパチとヒラマサはブリじゃない!?“ブリ御三家”の脂ノリも比較[栄養士解説]

2025.2.11 野村ゆき

この記事では、出世魚の代表格であるブリが地域でどのように呼ばれているのか、よく似たブリ属の魚との見た目の違いなどを栄養士ライターが解説します。

成長度合い&地域で異なる「ブリ」の呼び名

「ブリ」の呼び名、いくつ知ってる?「ブリ」の呼び名、いくつ知ってる?

「ブリ」の名前の由来は、雪の降る頃によく獲れて味が良いことから「降りの魚」が転じた、師走からおいしさが増すことから「鰤」の漢字が当てられたなど、諸説あります。この記事では、出世魚の代表格であるブリが地域でどのように呼ばれているのか、よく似たブリ属の魚との見た目の違いなどを紹介します。

▲お寿司でも人気の「ハマチ」はブリが大人になる手前の思春期段階(!?)。天然のハマチの旬はブリよりも早い夏から秋。▲お寿司でも人気の「ハマチ」はブリが大人になる手前の思春期段階(!?)。天然のハマチの旬はブリよりも早い夏から秋。

 ご存じのように、ブリは成長度合いで呼び名が変化する「出世魚(しゅっせうお)」です。大きさ(体長)によって呼び名が変わり、ブリになるまで東日本ではワカシ→イナダ→ワラサ、西日本ではツバス→ハマチ→メジロ、北陸地方ではコズクラ→フクラギ→ガンドと呼ぶことが多いようです。さらに、同じ西日本でも四国や九州でも呼び方が微妙に違うなど、地方それぞれの呼び名が存在しているのがユニークです。それほど日本人にとって親しみのある魚だと言えそうですね。

「カンパチ」と「ヒラマサ」はブリとは別物!?

 なお、ブリと混同しやすいのが「カンパチ」「ヒラマサ」。どちらもブリの仲間で、「ブリ御三家」と呼ばれているため勘違いしやすいのですが、ブリとは別の魚です。

 カンパチはブリやヒラマサと比べて身がうっすら赤みを帯び、口の周りがほんのりとピンク色。「間八」とも書き、正面から見ると頭に漢字の「八」の字ラインが入っています。

 一方、「ヒラマサ」はブリと外見がよく似ていますが、ブリよりも体が平たくスマートで体側のイエローラインがくっきり直線に走っている特徴があります。とはいえ、切り身やお刺身で売られている場合は魚種の表示がないと判別が難しいかも知れません。

ブリ・ハマチ、カンパチ、ヒラマサの栄養を比較

ブリ・ハマチ・カンパチ・ヒラマサの栄養比較(100gあたり)ブリ・ハマチ・カンパチ・ヒラマサの栄養比較(100gあたり)

 ふと、ここで気になるのが、成魚のブリと成長途中のハマチの栄養面の違い。ブリは脂のりが良いことで知られますが、ハマチはどうなのでしょう? カンパチ、ヒラマサとの違いも気になります。

「エネルギー」「たんぱく質」「脂質」を比較すると、最も高脂質・高カロリーなのは、やはり「ブリ」。

 一方、「たんぱく質」の含有量は大差がありません。ダイエット中の人など脂質が気になる場合はハマチ、カンパチ、ヒラマサを選ぶと良いかも知れませんね。とはいえ、ブリの脂質の多くは不飽和脂肪酸で、良質なEPAやDHAが豊富です。お肉や乳製品に多く含まれ、食べ過ぎると動脈硬化の原因となる飽和脂肪酸とは異なります。

まとめ

「ブリ御三家」として親しまれているブリ・カンパチ・ヒラマサ。ブリとハマチは同じ魚ですが、カンパチとヒラマサはブリとは別の魚です。

 ハマチはブリよりも脂が控えめで、比較的あっさりした味わい。

 カンパチは身が締まって歯応えが良く、鮮度の高いカンパチの刺身は絶品だそう。近年は養殖が主流で天然は高級魚となっています。また、天然のヒラマサも漁獲量が少ないレア魚。ブリよりも血合いが少なめで、お寿司や刺身に適しているほか、塩焼きや煮付けも軽い味わいに仕上がります。

 天然ものの旬はブリが冬、ヒラマサが春先から夏、カンパチが夏から秋とされています(養殖ものはこの限りではありません)。鮮魚売り場で見かけたら食べ比べを楽しんでみてください。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

栄養士・編集ライター 野村ゆき

編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。

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