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冬を代表する魚「ブリ」の《栄養ポイント》寒ブリって何?おすすめの食べ方は?栄養士ライターが解説!

2025.2.9 野村ゆき

冬に脂がのって美味しくなる「ブリ」。特に寒さが厳しくなる時期に水揚げされる「寒ブリ」は、格別な味わいだと言われています。この記事では、ブリの栄養ポイントをご紹介したいと思います。

冬の味覚「ブリ」を栄養士が解説

冬の味覚「ブリ」を栄養士が解説冬の味覚「ブリ」を栄養士が解説

 冬に脂がのって美味しくなる「ブリ」。特に寒さが厳しくなる時期に水揚げされる「寒ブリ」は、格別な味わいだと言われています。成長するにつれ呼び名が変わる出世魚の代表格で、縁起を担いで大晦日やお正月に食べた人も多いのではないでしょうか。この記事では、ブリの栄養ポイントをご紹介したいと思います。

真冬の「寒ブリ」がおいしい理由

▲丸々と太った「寒ぶり」。見るからに脂がのって、おいしそう!▲丸々と太った「寒ぶり」。見るからに脂がのって、おいしそう!

 ブリは成長段階によって呼び名が変化する「出世魚」で、体長60cm以上の成魚を「ブリ」と呼ぶことが多いようです(地域によって異なります)。

 そして、ブリの中でも真冬に水揚げされるデップリと肥えた天然ものが「寒ブリ」と呼ばれています。春の産卵期に向けてエサを活発に食べるため栄養と脂を体に蓄え、冬の冷たい海を長距離移動することで筋肉が鍛えられます。

 そのため、脂がのっているのに身が締まって旨みも多いのが「寒ブリ」の魅力。11月から2月頃にかけて旬とされ、富山県の氷見漁港で水揚げされる寒ブリが有名ですね。

ブリの脂質にはEPA・DHAがたっぷり!

 ブリの魅力は、何といっても脂ノリの良さ。ブリの脂質には、血液をサラサラにして血栓を防ぐ働きや、脳を活性化して記憶力を維持する働きなどの機能性が注目されているオメガ3系脂肪酸のEPAとDHAがたっぷり含まれています。その含有量はアジの3倍以上、サバやイワシよりも豊富です。

ブリと他の魚のEPA・DHA含有量の比較(生100gあたり)

たんぱく質やビタミン・ミネラルのバランスも優秀

 良質な脂質だけでなく、実はたんぱく質も豊富。天然のクロマグロ・赤身には敵いませんが、クロマグロのトロ(脂身)や真アジ、真サバ、真イワシよりも多く、真鯛(養殖)や鮭(しろさけ)と肩を並べる含有量を誇ります。

 また、ミネラルの鉄やビタミン(A、D、ナイアシン、B12など)も群を抜いて多いわけではありませんがバランス良く含まれています。ナイアシンはアルコールの分解を助けてくれる働きがあるので、日本酒との相性もばっちりと言えそうですね。

ブリと他の魚のたんぱく質・ミネラル・ビタミン含有量の比較(生100gあたり)

冬のブリは刺身・鍋・煮物・焼き物・揚げ物に大活躍!

▲南蛮漬けなど揚げてもおいしいブリ。彩り野菜をたっぷり添えて食べましょう。▲南蛮漬けなど揚げてもおいしいブリ。彩り野菜をたっぷり添えて食べましょう。

 ブリ料理と言えば「照り焼き」が定番ですが、脂がのった冬のブリはシンプルな「塩焼き」にしても素材の旨みをしっかりと感じられるでしょう。

▲脂がほどよく落ち、さっぱりいただける「ブリしゃぶ」。きのこ類や白菜などの野菜も食べられます。▲脂がほどよく落ち、さっぱりいただける「ブリしゃぶ」。きのこ類や白菜などの野菜も食べられます。

 栄養士目線でおすすめなのが、出汁にくぐらせていただく「ブリしゃぶ」などの鍋物、ブリの脂と旨みが調味料と合わさって大根に染み込む「ブリ大根」、あらの部分を活用すれば骨の周りの旨みも味わえる「粕汁」など、野菜も一緒に食べられる献立です。

▲冬が旬の大根を使った「ブリ大根」。ブリに足りないビタミンC補給も兼ねられます。▲冬が旬の大根を使った「ブリ大根」。ブリに足りないビタミンC補給も兼ねられます。

 バラエティに富んだ食べ方ができるのも冬のブリならでは。さまざまな食べ方を楽しんでくださいね。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

栄養士・編集ライター 野村ゆき

編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。

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