《ヒートショック》は“浴室”“高齢者”だけじゃない! まだまだ若くても気を付けるべき「場所」と「人」とは
2025.1.23 奏かえで
急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、体がダメージを受ける「ヒートショック」。気を付けるべきなのは、浴室や高齢者だけではありません。
作業療法士が解説

毎年11~4月にかけて、ヒートショックによる浴室での事故が増加します。厚生労働省によると、浴槽内での事故による高齢者の死亡者数は、交通事故の約2倍。例え若い世代でも、ヒートショックのリスクはゼロではありません。ヒートショックが起きやすい場所や、なりやすい人と対処法、予防について、高齢者施設に勤める作業療法士が解説します。知識を身に付け、自分や家族の健康を守りましょう。
家のどこが危険? 起こりやすい場所
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、体がダメージを受ける現象です。冬場は特に、冷たい空気と暖房の効いた室内との温度差によって発生リスクが高まります。家の中では、次の場所で注意が必要です。
まず、浴室はヒートショックが最も起こりやすい場所です。暖かいリビングから寒い脱衣所を通り、冷えた浴室に入ると、急激な温度変化によって体温が下がり、血圧が上昇します。その後、熱いお湯に入ると今度は血圧が急降下し、体に大きな負担が掛かります。
また浴室に隣接する脱衣所もリスクが高いエリアです。入浴後に冷えた脱衣所に行くと、体温が急激に奪われてヒートショックの危険性が高まります。
さらに、暖房が届きにくいトイレや廊下、玄関も注意が必要です。例えば気温が低い早朝や深夜にトイレを使う場合、布団から出た体が冷えてしまい、ヒートショックの可能性が高くなります。
なりやすい人と、対応法
ヒートショックを起こしやすいのは、次の条件に当てはまる人です。
まず、加齢により血管や心臓の働きが弱くなり、急な温度変化に対応しづらくなるため、高齢者は特に注意が必要です。また、心臓病、高血圧、糖尿病などを持つ人は、血圧や体温調節が不安定になりやすく、ヒートショックを引き起こす可能性が高まります。
さらに、食後やお酒を飲んだ後は、血圧が下がりやすくなります。この状態で入浴すると気温差の影響も加わり、血圧がさらに大きく下がるため危険です。食後や飲酒後は時間を空けてから入浴するか、先に済ませておきましょう。
加えて、若い世代に人気の温冷交代浴(サウナと冷水浴を繰り返す方法)は、急な温度差でヒートショックを引き起こす可能性があります。心臓や血圧に疾患がある人や、体調が悪い人は避けましょう。
もしヒートショックになってしまった場合の症状と対応法は、次の通りです。
・軽度の場合
立ちくらみやめまいが生じますが、安静にすれば回復することが多いです。
・重度の場合
心筋梗塞や脳卒中など、命に関わるリスクがあります。失神、胸の痛み、頭痛、嘔吐などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。自分で動けないときや、意識の無い人を見つけた場合は119番通報して、救急隊が到着するまで指示に従いましょう。
ファイナンシャル・プランナー、作業療法士、ライター 奏かえで
健康・マネー系ジャンルを中心にライターとして活動。現役の作業療法士で回復期病棟を経験しつつ、介護老人保健施設に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランナー(FP)・簿記の資格を持ち、新旧NISA・iDeCoへの長期投資を継続中。専門性を生かした記事執筆が強み。
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