トラブルの宝庫にもなる…「デジタル遺品」とは? 整理方法はどうするべきか
2025.1.12 夏木紬衣
情報化社会である今「デジタル遺品」という言葉があります。デジタル遺品の具体例や、トラブル回避につながるデジタル遺品の棚卸について紹介します。
「デジタル遺品」とは?

パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及にともない、耳にするようになった「デジタル遺品」。親族がスムーズに遺産整理でき、秘密にしておきたい情報が外部に漏れないようにするには、デジタル遺品への意識が大切です。デジタル遺品の具体例や、トラブル回避につながるデジタル遺品の棚卸について紹介します。
デジタル遺品とは、死後に残されたデジタルデータを指します。パソコンやスマートフォンなどに保存されたメッセージや写真、インターネットバンキングの口座情報、SNSやクラウドサービス上のアカウントなど、デジタルとして残された情報の総称です。
これらのデジタル遺品は、デジタルデバイスを通さなければ実態が掴めないものです。ローカルデータに限らず、インターネット上のサービスから生じるものすべてを含むので、膨大なデジタル遺品が残ることも少なくありません。
「デジタル遺品」にまつわるトラブル事例
手に取って存在を確かめられる物の遺品とは異なり、他者から気づかれにくい・分かりにくいという秘匿性を持つのがデジタル遺品です。遺族が気づかないまま、写真や動画、財産などが見落とされ、ときにはリスクを抱えたまま放置してしまう可能性もあります。
(1)遺品整理や財産調査が進行できない
端末のロックを解除できない、Webデータへのログイン情報が分からない、ネットバンキングの特定が出来ないなど、あらゆる障壁により遺品整理が進まないのが、デジタル遺品整理の第一関門とも言えるトラブルです。複数回ロック解除に失敗すると、自動的にデータが削除される端末もあり、慎重に事を進める必要があります。
(2)法律トラブル
端末の初期化や売却といったデジタル遺品の処分を無断で行う、遺族による遺品の横領、第三者から預かっているデータの破棄など、法律トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。親族間での争いや、第三者を巻き込む訴訟を防ぐためにも、生前のデジタル遺品の整理が必要と言えます。
「デジタル遺品」の棚卸
デジタル遺品は、誰かに知ってほしい・知られてもいい情報と、隠しておきたい情報の2つに分けられます。まずはデジタル保存されているものを、公開する・隠すと2つに分けて整理しましょう。次に、公開するデジタル情報の存在場所(金融機関名)など、アクセス方法を紙で保存します。セキュリティ情報は秘匿情報でもあるため、弁護士をはじめとした信頼できる人に託すといいでしょう。
死後伝えたいことをまとめた「エンディングノート」に、デジタル遺品の情報を記載しておく方法も選択肢のひとつです。しかし、ネットバンキングや仮想通貨などの遺産分割に関する意思は、公正証書遺言を作成し、法的効力に疑義が生じない方法で意思を伝えるのが推奨されます。
【まとめ】
デジタル遺品の課題やトラブルは、今後ますます増えていくことが予想されます。インターネットが身近な存在である若い世代こそ、デジタル情報の管理により一層の注意が必要です。万が一のときに秘匿したい情報が漏れてしまわないよう、今からデジタル遺品の整理を意識しておいて損はないと言えるでしょう。
美容や食など、くらしにまつわるテーマを中心にコラムを執筆。 好きなものや思い出をNotionにまとめがちな記録魔。パンとコーヒーラバーなので週末のパン屋・カフェめぐりがいとしの時間。化粧品検定1級、化粧品成分検定1級を有する。
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