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アートを作るナカの人に聞く 表参道「スパイラル」【後編】

2022.3.27 HAZUKI

アートはとにかく見る・知る・体験してみるのが一番! 新進気鋭のアーティスト・だるまちゃんが、制作意欲を高め、アーティストとしての成長を目指すべく、アートの修行の旅に出かけます。スパイラル編、後半です。

スパイラルのギャラリーは、他とはちょっと違う?

曽谷朝絵氏の作品《sora》。スパイラルにて個展が展開中

だるまちゃん:
「スパイラルがビル全体でアートを発信している中で、ギャラリーとはどんな存在ですか?」

岡田さん:
「一般的にギャラリーとは、ギャラリストがプロモーションをしたい作家を紹介するための場所です。作家が育って有名になり、作品も高額になると利益が上がるけれど、作家の取り合いになって、商品を扱えないこともあります。

 ですので現代では、いずれ高額な作品を扱うことができるように若手の育成に力を入れて、人気が出た作家を自分たちの資金でプロモーションし、展示、販売しています。

 日本でもそういうギャラリーは増えてきていますが、まだ空間の貸し出しを行うレンタルギャラリーの方が多いようです。

 スパイラルはそれとも少し違います。このビルのコンセプト、大人の女性が豊かさを持ち帰れるようなモノ・コトを提供する場所なので、売り買いが目的ではないんです。

 豊かさを体験してもらい、施設を利用する方にとってどうであるかに主眼をおいています」

若手のアーティストが巣立っていく場所

SICF EXHIBITION部門の様子 Photo: TADA (YUKAI)

だるまちゃん:
「展示するアーティストを選ぶ時もコンセプトを意識していますか?」

岡田さん:
「コロナ以降、少し方針が変わっていますが、SICF(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)という、これからデビューしていくクリエイターを公募して、年に一回大きなフェスティバル形式の展示の場を開いています。

 一次審査を通過した人は、SICFの会場内に設置されたブースで作品を展示することができるんですよ。かなりの数の応募があるので、コンセプトを意識して選考していますね。だるまちゃんもぜひ参加してください(笑)。一次審査に落ちないようにね」

だるまちゃん:
「はい!! もし私がスパイラルで個展を開きたい!と思ったら、まずコレに応募するんですね(笑)。ところで スパイラル側から声をかけたり、アーティストを探したりもしますか?」

岡田さん:
「もちろんです。スパイラル館外の仕事もありますからね。例を挙げると、横浜市の象の鼻テラスや、松山市の道後温泉でのアートを軸にした街づくり事業をプロデュースしています。

 そういう外部の仕事でアート作品をキュレーションしているので、いろんなタイプのアーティストを常に探しています」

フィンランドブームの火付け役はスパイラルだった!?

石本藤雄氏の作品 撮影:大谷宗平(ナカサアンドパートナーズ)

岡田さん:
「2000年くらいまでは、このビル内での文化活動・情報発信をしていて、その間にノウハウが蓄積されてきたわけです。と同時に、国内外の企業、自治体などからノウハウを提供してほしいという依頼が来るようになったんです。

 それで、2000年に「アートライフ宣言」と言って、スパイラルのアイデアでスパイラル館外の仕事も積極的にやっていくという記者発表をしました。

 以降、2005年の愛・地球博でのアートプログラムや、立川駅前の街づくり開発、MAJA HOTEL KYOTO(マヤ ホテル キョウト)という京都のホテルの開発のお手伝いもしました。

 MAJA HOTEL KYOTOでは、イッセイミヤケの腕時計を手掛けているフィンランド人のハッリ・コスキネンというデザイナーに、そのホテルのデザインをしてもらいました。併設されているカフェアアルト(ヘルシンキの有名な本屋さんにある大人気のカフェ)の世界進出第一号としてもプロデュースしています。

 実は、日本のフィンランドブームに火をつけたのはスパイラルだと言われてるんです。長年マリメッコのデザイナーだった石本藤雄さんとも何年も一緒にお仕事していますよ。

 外部でも常にアーティストと仕事をしているので、いつも新鮮な情報が必要です。だからSICFというコンペを開いたり、日々アーティストをリサーチしています」

スパイラル×アーティスト!

SICF MARKET部門の様子 Photo: TADA (YUKAI)

だるまちゃん:
「SICFってアーティストのジャンルがすごく広いですね!」

岡田さん:
「SICFは楽しいですよ。知らないアーティストに出会えるし、作り手が必ずブースにいて会話ができるから。制作意図や夢の話を聞いたり、そうすると一緒に仕事をできる人かどうかわかるんです。まあ、なんちゃって面接みたいなものかも」

だるまちゃん:
「直接お話できるのは、発掘の場としては大きなメリットですよね。一緒にお仕事できるアーティストに条件はありますか?」

岡田さん:
「僕らは亡くなった人の個展はやらないんです。国籍も関係なくて、必ず生きている人。

 スパイラルで展示をするということは、既存の作品だけでなくスパイラルの空間のための作品づくりがどうしても必要になります。だから、コンセプトを理解し、僕らと意見交換をし、お互い切磋琢磨できる人、そしてそのコミュニケーションも楽しめる人じゃないとスパイラルには合わないかもしれないですね」

だるまちゃん:
「お互いの色を合わせることで魅力をつくれる、ということですね」

岡田さん:
「そう。我々もより良く見せたいし。アーティストもより良く見てもらうために一生懸命つくる。

 例えば、オノ・ヨーコさんや草間彌生さんの時も、彼女たちがちゃんとここに来てくれて、いろんなことを相談しながらつくり上げたんです」

これからの、未来のスパイラル

 だるまちゃん

デザイナーとして会社勤務していたかたわら、デジタルではなく大きいキャンバスに絵を描きたいイメージをずっと持ち続けていたが、ついに2021年からアーティスト活動をスタート。アクリル・油絵・水彩いろいろ描きたいものを描いてスタイルを模索中。

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著者 HAZUKI

カナダ・トロント在住時代に、会社員として働く傍らライター業を始める。 帰国後、映画やドラマ、アニメなどの映像系CG制作会社に勤務しながら、さまざまなメディアで執筆。現在はフリーライターとして、海外での経験を活かし、ライティング・翻訳などを行っている。

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