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アートを作るナカの人に聞く 表参道「スパイラル」【前編】

2022.3.24 HAZUKI

アートはとにかく見る・知る・体験してみるのが一番! 新進気鋭のアーティスト・だるまちゃんが、制作意欲を高め、アーティストとしての成長を目指すべく、都内近郊のギャラリーにアート修行の旅に出かけます。初回はスパイラルへ。

スパイラル表参道は、アートを知りたいオトナに開かれている場

 表参道で長年存在感を放ち続けるスパイラル。ギャラリーとしてだけではなく、常に時代を先駆け、アートカルチャーを発信し続けてきた、ランドマークとも言える複合文化施設です。

勤続34年のスパイラルの生き字引き、シニアキューレーター岡田さんはアーティストだった

スパイラルの外観。建築は槇文彦氏が手掛けました

 冗談も交えながらも、丁寧な語り口調のシニアキュレーター・岡田 勉さんに、スパイラルのあれやこれやをお聞きしました。

 青山を訪れた人にほぼ知られているのでは、と思えるスパイラルですが、さて、どんな場所なのか? 新たな発見がたくさんありそうです。

だるまちゃん:
「岡田さんは、スパイラルでキュレーターをされているとのことですが、スパイラルに関わるきっかけは何だったのでしょう?」

左:だるまちゃん・右:スパイラルシニアキュレーター岡田勉氏

岡田さん:
「スパイラルは株式会社ワコールという女性の下着メーカーによって1985年にオープンしました。

 株式会社ワコールアートセンターという会社が管理、運営を担っていて、下着メーカーということもあり、当初はアートの専門職がいなかったんです。2年目になって、さすがにオペレーションにムリが出てきたということで声がかかり、入社しました。それが34年前です」

だるまちゃん:
「すごいそんなに長く! 以前も同じようなお仕事をされていたんですか?」

岡田さん:
「その前は芸術家でした(笑)。美大を卒業後、しばらく美大で創作活動をしていました。スパイラルに来てからも、モノづくりに戻るつもりでしたが、気づいたら34年経っていました」

 シニアキュレーターという肩書だけで緊張していただるまちゃんでしたが、岡田さんのフレンドリーなキャラに、少しずつ緊張もとけてきた様子。

 物腰柔らかな口調で飄々と話す岡田さんですが、実は34年間もスパイラルでキュレーターをしている大御所です。しかも、アーティストとしても大先輩ですから、だるまちゃんのテンションも上がります。

Spiralはビルまるごとアートだった!

少しずつ岡田さんと打ち解けてきただるまちゃん

だるまちゃん:
「スパイラルって、1階のギャラリーはもちろんですけど、いろんなショップがありますね。全てアートに関係するものですか?」

岡田さん:
「“生活とアートの融合”というのが活動のテーマにあって、暮らしを豊かにしてくれるあらゆるものを、僕らはアートと捉えているんです。

 例えば、ダンスやお芝居を見ること、デザインされたテーブルウェアや音楽、美容、そういう生活におけるあらゆるものとアートの融合。アートというものを非常に広く捉えています。

スパイラルと言えばフロアをつなぐ、スロープ

 その要素がこの建物の中で構成されています。食事の時間、食事をしながらアートを鑑賞する時間も含めて、アートと解釈していて、ビル全体でそれを体験していただけます。

 今は休業中ですが、地下にはレストラン・バーもあって、クレイジーケンバンド、YMO、池田亮司さん、蓮沼執太さんなどなど、有名なミュージシャンやアーティストたちが登場するような場所があったんです。多くの人がまずは目にする1階は、カフェとギャラリースペースになっています」

ギャラリーに隣接。ランチ、ティータイム、ディナーまで愉しめます

岡田さん:
「2階はスパイラルマーケットという生活雑貨のセレクトショップです。最近再注目されているクラフトとかデザイナーズプロダクトなども1985年からずっと取り扱っています。

 3階はスパイラルホールという100坪ほどのスペースで、企業の展示会や、オリジナルの催し物も開催しています。今は休演中ですが、小泉今日子さんのミネオラ・ツインズという舞台もここでやっています。

 4階はオフィス。5階は、ミナ ペルホネンというファッションブランドのデザイナー皆川明さんがプロデュースしたお店と、櫻井焙茶研究所という日本茶を楽しめるお店が併設されてます。皆川明さんは僕の高校の後輩なんです。どうでもいいですけど(笑)。

 6階と7階は、ヘアサロン、エステ、ネイルサロン、ヨガスタジオが営業している美容フロアです。8階がフレンチレストラン。各フロアで体験できるものごとを通じて、我々が考えているアートを提供するという建物になっています」

スパイラルマーケット、エターナルデザインをコンセプトとした雑貨のセレクトショップ Photo:Junpei Kato
Courtesy of Spiral / Wacoal Art Center

岡田さん:
「そうそう、元々女性の下着メーカーですし、大人の女性が感度を高められるような場所になっています。建築は、世界的に有名な建築家である槇文彦さんが手掛けたものです」

だるまちゃん:
「槇文彦さんの作品として特徴的な部分を見れる場所はありますか?」

岡田さん:
「ファサードかな? 槇さんはポストモダン建築の第一人者と言われていて、このビルも合理性と装飾性が融合したデザインになっています。グリッド状に構成された中に三角錐があったりと、高度な機能性の中に古典的なアイコンが散りばめられています。外から(ビルの上部に)見える三角錐の中にはかつては入れたんですよ。

 あとはエスプラナードと呼ばれて2,3階に至る大階段があります。回廊みたいな部分で、建物の中と外の中間、公園のような場所になっていて、槇先生はここが一番のお気に入りなんです」

「エスプラナード」、建築家・槇文彦氏のお気に入りの場所だとか

だるまちゃん:
「スパイラルのように、お店に自然にアートが取り入れられていると、一般の人にもアートに関心を持ってもらえますね」

岡田さん:
「そうでしょうね。段階があって、クリエイティブなもので暮らしの質を高めたいと思った時、最初にやるべきは整理整頓。きれいに片づけたテーブルで食事をとる。すると、きれいなお皿、カトラリーを揃えたくなり、良い椅子も欲しくなる。そうしてどんどん良くなるわけです。

 壁がつまんないから絵でも買おうと思っても、何を買っていいかわからない。まずは好きなポスターを額縁に入れて飾ってみてはどうでしょう?だんだん自分の趣味がわかってくるようになります。

 身の回りを整えているうちに、やがて飾りたいアートのために模様替えをしたり、はたまた家を建てたりとなっていくんですよ。そうしたら、しめたものです」

青山通りに面している「エスプラナード」にて。設置された椅子に座って、青山の風景をゆったりと眺めることができます

だるまちゃん:
「なるほど!! アートと生活って密接ですね。豊かだから密接だし、密接だから豊かにもなるのですね」

 生活の中でのアートの存在、スパイラルが発信するアートの魅力の数々に触れた、だるまちゃん。後編では、知られざるスパイラルのアートな活動と功績に迫ります!

■お問い合わせ
スパイラル
住所:東京都港区南青山5-6-23 
電話番号:03-3498-1171(代表)
営業時間:11:00-20:00 ※フロアにより異なります。

https://www.spiral.co.jp/

 だるまちゃん

デザイナーとして会社勤務していたかたわら、デジタルではなく大きいキャンバスに絵を描きたいイメージをずっと持ち続けていたが、ついに2021年からアーティスト活動をスタート。アクリル・油絵・水彩いろいろ描きたいものを描いてスタイルを模索中。

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著者 HAZUKI

カナダ・トロント在住時代に、会社員として働く傍らライター業を始める。 帰国後、映画やドラマ、アニメなどの映像系CG制作会社に勤務しながら、さまざまなメディアで執筆。現在はフリーライターとして、海外での経験を活かし、ライティング・翻訳などを行っている。

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