恋愛感情を抱かない“性のあり方”《アセクシュアル》とは? どんな行為に嫌悪感を抱くのか
2024.11.10 natsu
近年「LGBT」や「LGBTQ」という言葉を耳にする機会が増え、それとともに「アセクシャル」の認知度も高まっています。本記事ではアセクシャルについて紹介します。
アセクシャルとは?
近年「LGBT」や「LGBTQ」という言葉を耳にする機会が増え、それとともに「アセクシャル」の認知度も高まっています。しかしアセクシャルについてよく知らないという人は多いのではないでしょうか。本記事では、アセクシャルの人がどのような行為に嫌悪感を抱くのかアンケート結果を参照しつつ紹介していきます。
アセクシャルとは、他者に性的に惹かれないセクシュアリティ(性のあり方)を指します。恋愛感情を抱いても、性的な感情を抱くことがないセクシュアリティとされ、性的欲望が欠如する性的欲望低下障害のような性機能不全とは異なります。
2019年に大阪で行われた「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」によると、回答者の0.8%がアセクシャルでした。さらに、アセクシャルは男性よりも女性に多い傾向があることが分かっています。
2004年にイギリスで行われた「「性に対する態度とライフスタイルに関する全国調査」では、回答者の1.1%がアセクシャルと回答しました。これらの調査結果から分かるように、アセクシャルは人口の1%程度存在すると考えられています。
アセクシャルと混同されやすいセクシュアリティを解説!違いは?
アセクシャルと似ている言葉として、「アロマンティック」という言葉があります。アロマンティックは、他者に恋愛感情を持たないセクシュアリティです。アロマンティックには性的欲求の有無は関係ありません。他者に対して性的欲求も恋愛感情も抱かない場合「アロマンティック・アセクシャル」とされています。このように性的欲求の有無や恋愛感情感情の有無によって、セクシュアリティの表現方法は異なります。
アセクシャルの人はどんな行為に嫌悪感を抱く?
「Aro/Ace調査実行委員会」が2020年6月1日〜30日、アロマンティックとアセクシャルを対象に「アロマンティック/アセクシャル・スペクトラム調査」を実施し結果を公開しています。
「アロマアセクにおける特定の行為に対する嫌悪感の分布」では、「キスをする」75%、「手をつなぐ」27.9%という結果でした。一方で、「どれにも嫌悪感を覚えない」と回答した人は22.4%いました。同じアロマンティックやアセクシャルの人でも、嫌悪感を感じるラインは人によって異なることがこの結果から分かります。
さらに、「恋愛・性的ではないパートナーを望むか」という質問では、51.3%が「パートナーを望む」と回答し、半数以上の人がパートナーを望んでいました。一方で、21.7%は「望まない」、15.5%は「お互いを支えられる“グループを望む”」といった回答もありました。
アロマンティックやアセクシャルの人は、性的行為や恋愛を求めないという側面だけが独り歩きしてしまい、同じセクシュアリティの人はみんな同じ考えを持っていると思われる傾向にあります。しかし調査結果から分かるように、セクシュアリティは同じでも考え方は千差万別であり、人によって異なります。
アセクシャルにも多様性がある! その人自身を見ることが大切
アセクシャルは、他者に性的に惹かれないセクシュアリティです。嫌悪感を抱くラインやパートナーに対する考えは、人によって異なることが調査結果から分かっています。多様性が叫ばれる時代となり、さまざまなセクシュアリティがあることを理解していても、ひとつひとつについて詳しく知っている人は少ないものです。
「このセクシュアリティはこういう考えの人」とセクシュアリティごとでその人のことを決めつけてしまうことがあります。セクシュアリティについて理解するだけでなく、セクシュアリティにも多様性があることを理解し、その人自身を見ることが大切と言えるでしょう。
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