【秋の味覚代表】秋刀魚(サンマ)の栄養は?脂のりと鮮度の“見分け方”まで栄養士ライターが解説
2024.9.26 野村ゆき
秋の訪れとともに、食べたくなるのが秋刀魚(サンマ)。本記事ではサンマの栄養面をクローズアップしたいと思います。
秋の味覚代表「サンマ」を解説
秋の訪れとともに、食べたくなるのが秋刀魚(サンマ)。「秋刀魚」の漢字は、文字通り秋に旬を迎えること、細身で銀色に輝く姿が刀を連想させることが由来とか。かつて江戸時代には、サンマが市場に並ぶと庶民がお祭り騒ぎをして喜んだことから“魚へんに祭”と書く字が使われていたとも言われています。ここ数年は価格が上昇していますが、昔も今も秋の味覚として人気です。そんなサンマの栄養面をクローズアップしたいと思います。
脂がのったサンマのほうが栄養価が高いの?
サンマは、サバやイワシと同じ背が青い青魚であり、常に泳ぎ続けるために必要な酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンを多く含む赤身魚でもあります。つまり、良質なたんぱく質と脂質の両方を摂ることができます。
サンマ1尾(頭・内臓・骨・ひれ等を除いた正味重量100g)に、たんぱく質16.3gが含まれ、男性15~64歳の食事摂取基準の推奨量(1日65g)の約1/4、女性18歳以上の推奨量(1日50g)の約1/3に相当します(※1)
また、脂がのったサンマほど、おいしいイメージがあり、特に脂が多いのは背中とお腹まわり、内臓の内側です。その脂肪に多く含まれているのが、体に良いとされるオメガ3系脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)。血液をサラサラにして血栓を防ぐ働きや、脳を活性化して記憶力を維持する働きなどの機能性が注目されています。サンマにはアジ、サバ、イワシよりも豊富なEPAとDHAが含まれています。
(※1)サンマの目安量:奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部、たんぱく質の推奨量:『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より
うれしい栄養がたっぷり
ほかにもサンマには、筋肉を動かす手助けや貧血を予防する鉄、カルシウムの吸収を促進して骨や歯の成長をサポートするビタミンD、傷ついた神経細胞を修復するビタミンB12、不足すると抜け毛や白髪を招いたり爪がモロくなったりしやすいビオチンなどが多く含まれています。また、血合いや皮に多く含まれるのが、口内炎や肌荒れを防ぐビタミンB2です。
おいしいサンマの見分け方
脂のりは、サンマのおいしさのバロメーター。頭の上の「おでこ」から肩の肉が盛り上がって見えるサンマが、脂がのっているサインです。また、「くちばし」と呼ばれる下顎の先端部分が、黄色や橙色ものが新鮮で鮮度が低下すると退色して白くなると言われています。氷水に入った状態で売られている場合もありますが、その水が血で汚れている場合はサンマの身に臭みが移っている可能性も。サンマを選ぶときの参考にしてください。
ほろ苦いけどおいしい!サンマの内臓
サンマには胃袋がなく、消化器官が短く、エサを食べてから排出するまでの時間が短い特徴があります。つまり、内臓に不純物がほとんど残っておらず、エグみや臭みが少なめ。塩焼きにすると内臓までおいしく食べられます。特有のほろ苦さに内臓脂肪のコクが加わってウマみとなり、身の味を引き立ててくれるのです。庶民の大衆魚だったサンマが地球温暖化による海水温の上昇などで漁獲量が減少し、高級魚になりつつあるのが本当に残念です。今年の秋は、手ごろでおいしいサンマと出会えますように!
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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