エネルギー補給に《バナナ》が良い理由とは? 糖質以外の栄養ポイントと保存のコツを栄養士ライターが解説
2024.9.16 野村ゆき
バナナを食べるとパワーが長持ちするのは、なぜなのでしょう。エネルギーのもととなる糖質以外の注目成分はあるのでしょうか。この記事では、そんな疑問と向き合ってみたいと思います。
バナナがエネルギー補給に良いといわれる理由
スポーツ選手が競技前や試合中に「バナナ」を食べている光景を目にすることも多いでしょう。バナナはエネルギー補給の代名詞のようなフルーツと言えそうです。バナナを食べるとパワーが長持ちするのは、なぜなのでしょう。エネルギーのもととなる糖質以外の注目成分はあるのでしょうか。この記事では、そんな疑問と向き合ってみたいと思います。
バナナに含まれる糖質は多様性に富んでいるからエネルギーが長持ちする
バナナ1本分(皮などを除いた正味重量120g)には、112kcal(キロカロリー)のエネルギーが含まれていますが、おにぎり1個分(100g・170kcal)よりも実は控えめ(※1)。ですが、おにぎりに含まれる糖質の主成分(デンプン)よりも、バナナに含まれる糖質の主成分(果糖、ブドウ糖、ショ糖など)は消化吸収されやすく、エネルギーにすばやく変換されやすい性質があります。
一方、バナナには消化速度が比較的ゆるやかなデンプンも含まれているため、腹持ちが良い特徴も。つまり、バナナのエネルギーは即効性と持続性をあわせ持っているハイブリットさが最大の長所。皮をむくだけですぐに食べられ、持ち運びできる手軽さも幅広い年代のエネルギー補給源として重宝されている理由でしょう。
(※1)参照:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部より
バナナの良さはエネルギー補給だけじゃない!
バナナには、不足すると筋肉の痙攣(けいれん)を起こしやすいカリウムや筋肉の動きを調整する働きがあるマグネシウム、たんぱく質をアミノ酸に分解する代謝を助けるビタミンB6、精神の安定や睡眠に深く関わっているセロトニンの材料になるトリプトファン、抗酸化作用のあるビタミンCやポリフェノールも含まれています。
また、食物繊維やクラフトオリゴ糖、ペクチンなど腸内環境の改善が期待できる成分も豊富。エネルギー補給源としてだけはない注目の栄養成分が凝縮されているのです。夏風邪をひいたときや、夏バテで体力が低下したときなどに、手軽に栄養とエネルギーをチャージできるのが魅力的です。
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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