LASISA

Search

【防災】災害時のお助け調理法「ポリ袋クッキング」応用編! たんぱく質強化レシピとコツ 栄養士ライターが実際に作って解説

2024.9.1 野村ゆき

8月30日から9月5日の防災週間にちなみ、お届けする災害時「ポリ袋クッキング」第2弾。筆者が実際に試作して高齢の家族に食べてもらい、好評だったものを厳選してお伝えします。

8月30日から9月5日は防災週間

災害時に役立つ調理方法「ポリ袋クッキング」をおさらい!災害時に役立つ調理方法「ポリ袋クッキング」をおさらい!

 8月30日から9月5日の防災週間にちなみ、お届けする災害時「ポリ袋クッキング」第2弾。この記事では、在宅避難時の限られた食材(常温保存できる缶詰など)で、たんぱく質や食物繊維を補えるおかずレシピをご紹介。筆者が実際に試作して高齢の家族に食べてもらい、好評だったものを厳選してお伝えします。

ポリ袋クッキングのポイントおさらい

 災害時に、ライフライン(水・ガス・電気)が制限された環境下で、カセットコンロ、耐熱性ポリ袋、お湯を沸かした鍋があれば、温かい食事を手軽に作ることができる「ポリ袋クッキング」。その名の通り、ポリ袋に食材を入れてパック(封じ込める)し、湯せんする調理方法です。調理のコツは以下の通り。

・お米は1合まで、おかずは2~3人分までの少量ずつ袋に分けて作る
・食材を入れたポリ袋の中の空気を可能な限り抜き、しっかりと結ぶ
・炊飯は水から入れて沸騰させ、加熱・蒸らし時間を守る
(加工食品を使うおかずの場合は沸騰してからの加熱でOK)

▲出来あがった料理をポリ袋のまま新聞紙で作った簡易食器にのせれば、食器洗い不要で節水にも。▲出来あがった料理をポリ袋のまま新聞紙で作った簡易食器にのせれば、食器洗い不要で節水にも。

 この記事では、避難生活で不足しがちな栄養をフォローするための、おかずの作り方をクローズアップします。

避難生活ではたんぱく質と食物繊維が不足しがち

 災害時の避難生活で懸念されるのが、栄養バランスの偏りによる体調不良です。比較的、口にしやすい炭水化物(おにぎり、パン、インスタントめんなど)中心の食事が続くと、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維が不足しがちです。さらに、節水を心がけるため水分不足に陥りやすく、ストレスや運動不足も重なって便秘や低体温、筋力低下、脱水症状などのリスクが高まります。特に高齢者の方は冷たいごはん(おにぎり)や食事が飲み込みにくい場合もあり、栄養不足を招きやすく注意が必要です。

たんぱく質+食物繊維フォローになる“ワンポリおかず”

“ワンポリおかず”レシピを2つ紹介“ワンポリおかず”レシピを2つ紹介

 1枚のポリ袋に材料を入れ、加熱調理するだけの“ワンポリおかず”で活用したいのが、大豆加工品とサバ缶などの魚加工品です。どちらも、たんぱく質が豊富で、大豆加工品には体内の水分を調整してくれるカリウム、疲労回復を促すビタミンB1、腸内環境を整える食物繊維が豊富。サバ缶は、オメガ3系脂肪酸のDHAやEPAが多く含まれ骨ごと食べられるためカルシウムも補えます。筆者が実際に何品か作ったなかで家族に評判だった「サバ缶のトマトジュース煮込み」「マーボー高野豆腐」のレシピをご紹介します。

ポリ袋クッキング(1)サバ缶のトマトジュース煮込み

《材料》2~3人分
・さばの水煮缶:1缶(190g)
・トマトジュース(100%濃縮還元・無塩):1缶(185g)
・大豆(ドライパック):1袋(60g)
・乾燥野菜(玉ねぎ・にんじん・キャベツ):ひとつかみ(10g)
・にんにく:1片(5g)
・ローリエ:1枚
・こしょう:少々
・唐辛子(輪切り):少々(好みで加減を)
※サバ缶→味噌煮・醤油煮でもOK(少し濃い味に仕上がる可能性あり)、にんにく、ローリエ、唐辛子はなしでも作れます

《作り方》 調理時間:約25分
(1)にんにくの皮をむき、キッチンバサミでざっくり刻む。ローリエの葉にキッチンバサミで切り込みを入れる(煮込み時間が短いので、早く風味づけするため)。
(2)ポリ袋に材料すべてを入れ(トマトジュースを最後に加えると飛び散らない)、袋の中の空気を抜きながらねじり上げ、上の位置でしっかりと結ぶ。
(3)鍋に水を入れ(容量の1/2程度が目安)、鍋底にポリ袋を保護するため耐熱皿または布巾を敷き、火にかける。沸騰したらポリ袋(2)を入れ、中火~弱火(フツフツと小さい泡が出てくる状態をキープ)で5~10分間加熱。鍋のフタは少しずらして吹きこぼれを防ぎつつ、水分の蒸発も少なくする。
(4)火を止め、きちんとフタをした状態で5?10分間蒸らす。
(5)ヤケドに注意して、トングなどでポリ袋を取り出し、結び目を外し(キッチンバサミで切ってもOK)、盛り付ければ完成!

▲サバ缶のトマトジュース煮込み

▲サバ缶のトマトジュース煮込みの材料

 サバ缶とドライパック大豆はそのまま食べられる加工食品なので加熱時間は、乾燥野菜が戻り、にんにくに火が通ればOK。実は、筆者も家族もサバ缶特有の魚くさい味が苦手なのですが、にんにく・ローリエ・唐辛子を加えることで軽減され、トマトスープ感覚で食べやすかったです。

ポリ袋クッキング(2)マーボー高野豆腐

《材料》2~3人分
・高野豆腐(凍り豆腐):小さめ12個(34g)
・大豆ミート(乾燥・ミンチタイプ):大さじ2(10g)
・乾燥野菜(玉ねぎ・にんじん・キャベツ):ひとつかみ(10g)
・麻婆豆腐の素(レトルト食品・トロミ粉別添え):1袋(3人分・27g)
・水:カップ2+1/5(240cc)

《作り方》 調理時間:約25分
(1)材料をすべてポリ袋の中へ入れ(麻婆豆腐のトロミ粉も入れる)、袋の中の空気を抜きながらねじり上げ、上の位置でしっかりと結ぶ。袋の上から手でよく揉み込み、味を均一になじませる。
(2)鍋に湯を沸かし、鍋底に耐熱皿または布巾を敷き、ポリ袋(1)を入れ、中火~弱火で15分間加熱(鍋のフタは少しずらす)。火を止め、きちんとフタをした状態で10分間蒸らす(高野豆腐のパッケージに記載された戻し時間=加熱+蒸らし時間になるように)。
(3)ポリ袋を出し、袋のまま皿に盛りつけたら完成!

▲マーボー高野豆腐

▲マーボー高野豆腐の材料

 高野豆腐にあまりなじみがない子どもさんも、マーボー豆腐風にアレンジすることで食べやすくなります。市販の麻婆豆腐の素に添えられた調味液を活用するため、味が濃いめに仕上がります。薄味が好みの場合は調味液の量を加減してください。なお、高野豆腐を和風だしで含め煮する定番料理も湯せん調理で作ることが可能です。含め煮の場合は、乾燥野菜や干しシイタケを加えて野菜不足を補うと良いでしょう。

まとめ

 ポリ袋を2つ用意し、1つはサバ缶のトマトジュース煮込み、もう1つはマーボー高野豆腐というハイブリッド調理もポリ袋クッキングなら可能です。実際にポリ袋クッキングを試してみて、「これはイケる」「ちょっと食べにくい」などと率直な感想を言い合いながら、改めて普段の食事のありがたさを感じるとともに、災害時の食品ストックについて家族で考える良いきっかけになりました。防災週間を機に備蓄の食材をチェックしたり、ポリ袋クッキングに挑戦したりするきっかけにしていただけたら幸いです。

栄養士・編集ライター 野村ゆき

編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。

tags

この記事の関連タグ

recommend

こちらもおすすめ