【一発逆転】なぜ起こる?大逆転を起こした五輪選手らから紐解く「自分の人生は自分が主人公」の本当の意味
2024.7.30 佐藤城人(さとう・しろと)
パリ五輪が始まり、選手たちの活躍に連日目が離せません。体操男子団体やスケートボード・堀米雄斗選手などの大逆転した試合に感動した人も多いのではないでしょうか?一発逆転を起こした選手たちは不利な状況かでも、なぜ強靱なメンタルを持ち続けられたのでしょうか。
はじめに
パリ五輪が開幕しました。体操男子団体やスケートボード・堀米雄斗選手の大逆転の金メダルなど、スリリングな展開に目が離せません。「最後まで諦めない」という強い精神力を選手たちから感じ取った人も多いのではないでしょうか。これは、人生にも当てはまります。「自分の人生の主人公は自分」なのです。たとえ上手くいかないとしても、自分の人生を諦めないからこそ逆転の扉が開くのです。
ただ、ここで気をつけたいことがあります。「一発逆転を狙おう!」として、かえって失敗し傷を広げるケースもあるということです。 では、ここで質問です。次のAさんとBさん、どちらも人生の逆転を願っています。2人のうち、うまくいきそうなのは、どちらですか?
Aさん「夢は自分で叶えるもの」
Bさん「夢は誰かに叶えてもらうもの」
答えは、Aさんですね。なぜかというと、「自分の人生の主人公は自分」だからです。Bさんのように、人任せの姿勢では逆転は起きません。ただ、隠れBさんと呼べる人もいるようです。この場合、「これだけやっているのに、どうしてうまくいかないの」と嘆きます。一見自分から取り組んでいるように見えますが、そうではありません。また、「人生の主人公は自分」の意味を間違えて解釈する人も多いです。
この記事では、まず、叶えたい「夢」について考え、その後この「隠れBさん」や「主人公」の本当の意味についても考えます。
あなたが叶えたい夢とは?
一発逆転を願う場合、その逆転させたいこと、叶えたい夢とはなんでしょう?よく本気度に応じて神様はほほ笑むという言い方も耳にします。では、この本気度、どうすれば計れるのでしょう?
(1)金銭よりも自分の価値で計ること
一見、まったくお金にならないことに夢中になる人がいます。オリンピックの参加も同じです。よく「参加することに意義がある」と言います。ここでの意義の捉え方は、個々の選手によって異なることでしょう。もちろん、参加したことにより、お金持ちになれたというケースもあります。ただ、少なくとも参加する際は、自分が大切と思う価値に従って参加しているはずです。
あなたが叶えたい夢はなんですか?金銭的に困っているから金儲けが先だ、というのもわかります。ただ、「あなたの叶えたい夢」の価値や大きさに応じて、金銭が入ってきます。達成させたときの自分の姿をイメージしてください。そこにあなたは、どのような価値を見出しますか?
(2)安全・確実よりも、確率で考える
体操もスケートボードも、最後の演技は、最高難度の技で挑みました。失敗する危険性もあります。しかしそれでも、果敢にチャレンジし、見事に成功、大逆転しました。ここでは、成功する確率100%の安全な技でも良かったはずです。どのように考え、繰り出す技を選択したのでしょう? 次の2つの計算式を比べてください。
・100%の確率で50万円手に入る方法(100×50=5,000)
・70%の確率で100万円手に入る方法(70×100=7,000)
大逆転を狙う際、大事な考え方は、一か八かを狙うことではありません。あくまでも成功する確率と手に入る価値。この2つの掛け算から導き出せる数字の比較です。五輪であれば、安全で失敗しない技で銀メダルを狙うのか、それとも失敗する確率もあるが、それでも金メダルを狙うのか、この比較です。そして、上記(1)の自分の価値に見合う選択をしたのではないでしょうか。
(3)諦めないためには
「最後まで諦めない」。これは、逆転させるために必要な考え方です。そして、この言葉の裏付けに必要なことは、日頃の練習です。猛練習を重ねてきたからこそ、諦めきれないのです。
「もっと行けるはずだ」「絶対やれる」「このままでは終われない」という強い思いを支えるのは、猛練習と取り組んできた自分自身に他なりません。「努力は裏切らない」そして「自分を信じる」この考え方が、自信となり大逆転を引き寄せます。
なぜうまくいく人とうまくいかない人がいるのか
ここまで書いてくると、「これだけやっているのに、どうしてうまくいかないんだ」というお声も聞こえてきそうです。では、ここから隠れBさんについてです。
冒頭で「自分の人生は自分が主人公」とお伝えしました。隠れBさんの場合、自分で取り組んでいますが、実際にはそうではないケースが多いです。どのようなことなのか、2点に絞ってお伝えします。
(1)自分で考えていない
「自分が主人公」とは、自分で考え、自分で感じ、自分が演じることを言います。 しかし、この「考える・感じる」部分が抜けてしまう人がいます。具体的には「言われるまま」の人たちです。もちろん、スポーツの場合、最初はコーチから教わることからスタートします。しかし、これだけだと、何かあった際に常に指示を仰ぐことになります。絶体絶命の場面で、自力で抜け出すことが難しくなってしまいます。
スケートボードの堀米選手は、東京五輪の後、競技の採点の方法が変わり、かなり苦しんだのだそうです。しかし、これも試行錯誤し、考え抜いたからこその連覇!なのでしょう。
(2)周囲を見ていない
「これだけやっているのに」と嘆く人の場合、周囲をキチンと見ていない人も多いです。体操男子のチーム、お互いが声を掛け合っていましたね。「まだまだこれからだよ」「最後まで諦めない」これらの言葉が背中を押してくれます。では、お互いが周囲を見ていない場合、この声掛けはできたでしょうか?
中には、周囲を気にしすぎてしまい、かえって緊張する人もいます。しかし、これも周囲を見ているようで、実際に見てはいません。周囲を見ることと、周囲を気にすることは、別物だからです。そしてこの周囲を気にする結果、「人に頼ってはいけない」「なんでも自分でやるべき」と、すべてを抱え込んでしまいます。このケースも隠れBさんと私は呼んでいます。うまくいかないという点では同じだからです。
さいごに…「自分の人生の主人公は自分」の本当の意味
「自分が主人公」とは、自分の人生の責任を負うということです。ここから、人任せにしないという解釈が生まれます。ところが、「(主人公なのだから)何でも自分でやるべき」と解釈する人もいます。本当のところは、
・自分が責任を負うから、あなたに任せた。
・自分が責任を負うから僕に任せてほしい。
・お互いが責任を持とう、その上でみんなで分け合おう
これが、単なる人任せにしない、との違いです。そして真の意味での主人公同士が、ひとつのチームを組むとき、最強のチームが生まれます。お互いを信じ合うことができるからです。
お互いに声を掛け合い続けた体操男子チーム、最後の最後も「あとはお前しかいない」これも信頼感の証です。スケートボードの堀米選手も同じです。これまで支えてくれたスタッフや自分自身への信頼感。これが大きなエネルギーとなり、大逆転を生んだのです。
心理カウンセラー・心理セラピスト 佐藤城人(さとう・しろと)
心理カウンセラー・心理セラピスト。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには社交不安障害や愛着障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。インナーチャイルドの回復プログラムの中で「正しさよりも心地よい生き方」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。
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