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【子どもの声は騒音か?問題】「騒げなかった子どもたち」に何が起こるか?心身への影響とそのケア 心理カウンセラーが解説[前編]

2024.7.27 佐藤城人(さとう・しろと)

SNSでたびたび論争となっている「子どもの声」は騒音か問題……。もし、子どもが「騒いではいけない」「周りに気を遣って静かにしていなさい」と過剰に言われ続けたり、騒げる場所を奪われてしまった場合、メンタルにどのような影響が出るのか、という観点から考察します。

騒げない子どもたちに何が起こるか?

騒げない子どもたちに何が起こるか?騒げない子どもたちに何が起こるか?

 SNSでたびたび論争となっている「子どもの声」は騒音か問題……。2024年7月24日頃にもX(旧Twitter)で議論が白熱していました。騒音と感じるかどうかは、許容範囲が個々に異なると私は考えています。この記事の目的は、どちらが正しいかを論ずることや、妥協点を見出すことではありません。もし、子どもが「騒いではいけない」「周りに気を遣って静かにしていなさい」と過剰に言われ続けたり、騒げる場所を奪われてしまった場合、メンタルにどのような影響が出るのか、という観点からの考察です。結論を述べると、周囲の視線が気になり「疲れやすい大人」になる、心理カウンセラーとして、この点を懸念します。もし、子どもに少しでも異変がある場合、本記事を参考にしていただけるとありがたいです。

「疲れやすさ」の種類は2つ

「騒げなかった子どもたち」が大きくなったときに感じる疲れやすさの要因は、次の2点です。

A:重たいヨロイを身にまとってしまうから
B:意識が「いま・ここ」に居ないから

前編では、Aの「重たいヨロイ」を扱います。あなたの周りに、激しい運動をしてはいないにもかかわらず、なにかと疲れたを連発する子どもさんはいませんか?この場合、自律神経の乱れと捉えることができます。

“重たいヨロイを身にまとう”とはどういうことか?

「あなたの声はうるさいです」「迷惑です」と、あなたが周囲から言われ続けたとします。どのように対処しますか?きっと「周囲に迷惑を掛けてはいけない」と考え、それに沿う行動を取ることでしょう。具体的には、周囲の期待に応えようとする、聞き分けのよい真面目な人となります。しかし、見方を変えれば、周囲の視線を過度に気にし、自分を抑える何かと緊張した人ともいえます。

 緊張するとき、自律神経の交感神経にスイッチが入ります。交感神経は、活発に動けるよう働きかける神経です。やる気に満ちた状態をイメージしてください。ただし、この状態は緊張した状態でもあります。では、このまま24時間365日、続けることは可能でしょうか? これは、無理です。どこかで、エネルギーを使い果たしてしまうことでしょう。

 流れで捉えると、次のようになります。

(1)周囲の視線を気にする結果、緊張感が増す。
(2)交感神経のスイッチが常にオンの状態が続く。
(3)緊張感が心や身を縛り、ヨロイ化する。
(4)ヨロイが重くなり、身動きが取れなくなる。
(5)疲労感が増し、ダウン寸前(イラスト)

知らないうちにヨロイがどんどん重くなっていく知らないうちにヨロイがどんどん重くなっていく

 このイラストのように、疲れていると誰もが気づけばよいのですが、自律神経の乱れからくる疲労感は、なかなか気づきにくいです。そこで、多少調子が悪くても、「もっと、頑張らねば」「周囲の期待に応えるべき」となり、ますますヨロイを重くさせてしまいます。

体の疲れと自律神経の疲れの見分け方

 自律神経が乱れると疲れが出ます。具体的には、交感神経と副交感神経がスムーズに切り替わらなかったり、交感神経ばかりが優位だったりする状態です。この疲れは体の疲れとは異なるものです。では、どのように見分ければ良いのでしょう?

 体の疲れの場合は、特定の部位に痛みが出ます。例えば、久しぶりにジョギングをした場合、後日、足腰に痛みが起きます。これは普段使っていない筋肉を酷使したからです。つまり、体の疲れの場合は、特定の部位に痛みが発生します。しかし、自律神経の乱れの場合は、体を動かしているわけではありません。そのため、「なんとなく」だるさや全身への重さを感じます。キーワードは「なんとなく」です。

 もちろん、2つの疲れが同時に起きることもあります。また、自律神経の乱れが首や肩の張りなど、特定の部位に現れるケースもあります。ただ、この場合も酷使からの痛みではなく、ガチガチに張った感じが特徴です。この突っ張り感は主に、血流の悪さが要因です。

【次ページ】なんとなくダルいな…自律神経の疲れを取る方法

心理カウンセラー・心理セラピスト 佐藤城人(さとう・しろと)

心理カウンセラー・心理セラピスト。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには社交不安障害や愛着障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。インナーチャイルドの回復プログラムの中で「正しさよりも心地よい生き方」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。

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