【栄養比較】似ているけど…ウナギ・アナゴ・ハモの違いは何? たんぱく質が多いのは? 低カロリーなのは? 栄養士ライターが解説
2024.7.24 野村ゆき
土用の丑の日が近づくと食べたくなる鰻(ウナギ)、江戸前のお寿司や天ぷらに欠かせない穴子(アナゴ)、京都の祇園祭をはじめ関西で特に親しまれている鱧(ハモ)。見た目はよく似ていて共通点も多いように感じますが、実は栄養成分や食べ方にそれぞれの特徴があります。
見た目はそっくり!鰻(ウナギ)・穴子(アナゴ)・鱧(ハモ)
土用の丑の日が近づくと食べたくなる鰻(ウナギ)、江戸前のお寿司や天ぷらに欠かせない穴子(アナゴ)、京都の祇園祭をはじめ関西で特に親しまれている鱧(ハモ)。いずれも日本人になじみ深く、夏に食べたい魚です。見た目はよく似ていて共通点も多いように感じますが、実は栄養成分や食べ方にそれぞれの特徴があります。
東西で異なるウナギ・アナゴの食べ方、関西の夏の風物詩ハモ
全国的に人気のウナギは、ご存知のように東西で蒲焼きにするときの調理法が異なります。関東では背開きで蒸してからタレ焼き、関西では腹開きで蒸さずにタレ焼きするのが主流です。また、アナゴは関東では煮アナゴ、関西以西では焼きアナゴが一般的です。
ハモは関西地方の特に京都・大阪で人気が高く、祇園祭のころの京都の味覚を代表する魚として知られています。京都の名物になったのは、紀伊水道で獲れたあと、京都まで生きたまま運ぶことができた生命力の強さからだと言われています。身と皮の間に小骨が多いため、骨切りをするなど、独自の調理法が発達しました。
今回、ウナギ・アナゴ・ハモの栄養を比べて分かったことを紹介しましょう。
●ウナギは抗酸化ビタミン×お助けビタミンB群が豊富
ウナギに突出して多いのがビタミンAで、穴子の4倍以上、ハモの30倍以上も含まれています。ビタミンAと同じ脂溶性で抗酸力が高いビタミンEと骨を強くするビタミンD、さらにカルシウムが多い点もポイント。
また、疲労回復とストレス緩和を促すビタミンB群が多く、土用の丑の日だけに限らず、疲れやストレスを感じたときに食べるのがおすすめと言えそうです。一方、脂質とコレステロールの高さが気になるところですが、DHAやEPAをはじめとする質の良い脂肪酸を多く含んでいるので、食べ過ぎない限りは問題ないでしょう。
●アナゴは過不足が少ない栄養バランス優等生
アナゴはウナギ・ハモよりも目立って多い栄養素は鉄くらいですが、抗酸化力の高いビタミンAとEが十分含まれています。また、たんぱく質がウナギと同じ量含まれているのに対して、脂質は約半分。蒸し穴子・煮穴子・焼き穴子いずれの料理も、さっぱりと食べやすいところが支持されている理由の一つでしょう。ヘルシー脂っこいのが苦手な人やダイエットをしている人がスタミナをつけたいときは、鰻重よりもアナゴ丼やアナゴ寿司を選ぶと良いかもしれませんね。
●ハモは低エネルギー&低脂質・高たんぱくの“筋活”フード
ハモの特徴は、たんぱく質が豊富でありながら、脂質とエネルギー(カロリー)が低いこと。コレステロールはウナギの1/3以下です。たんぱく質の代謝を助け、重要なホルモンの働きを調整するビタミンB6も多いので、筋力アップやダイエットの強い味方になってくれそうです。また、糖質と脂質の代謝を助け、アルコールの分解を促進するナイアシンも豊富に含まれています。ハモは湯引き、鍋、照り焼き、棒鮨とメニューのバリエーションが豊かな点もポイント。お酒好きの人はハモ料理に注目してみてください。
まとめ
ウナギは養殖が盛んで年間を通して食べることができますが、アナゴとハモも同じ時期に食べることができるのは夏の7月から9月ごろにかけて。料理や栄養の個性を知って、食べ比べを楽しみながら暑い夏を乗り切りましょう。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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