「ランニングは老ける」…本当か? 作業療法士が教える《老けるランニング》と《老けない運動》の違いとは
2024.7.4 奏かえで
「ランニングをすると老ける」と聞くことがありますが、真偽のほどは? せっかくの運動を健康につなげるために、作業療法士が“良い運動”について解説します。
「ランニングをすると老けてしまう」。そんなうわさを聞いたことがありませんか。せっかく健康を意識して運動をしているのに、老けてしまうなんてむしろ逆効果では……? 実際、間違った有酸素運動は老化の原因になり得ます。作業療法士の筆者が、老化が進んでしまう理由と有酸素運動のメリットとデメリット、老けないための対策を解説します。
ランニング…有酸素運動のデメリットとは
結論として“適度”なランニングには大きな問題はありません。一方で、ランニングつまり有酸素運動をすると、老けると言われる原因の一つが、活性酸素です。
私たちが体内に取り入れた酸素は、一部が活性酸素に変化すると言われています。活性酸素は増え過ぎると細胞を傷付けてしまい、老化の原因になります。“悪者”のイメージが強い活性酸素ですが、実は免疫機能などで大切な役割を果たす物質です。
加えて、私たちの体には抗酸化機能が備わっているので、ある程度は活性酸素を抑え、ダメージを修復できます。
しかし、過度な有酸素運動を行うと活性酸素の生産が増えてしまい、抗酸化が間に合わなくなります。結果として老化が進みかねません。また、ランニング中に紫外線を浴び続けるのも、活性酸素が増える一因です。
そして、エネルギー不足状態での有酸素運動も老化を招く恐れがあります。有酸素運動のエネルギー源は、主に糖や脂肪です。しかし、空腹状態や長時間・高強度の有酸素運動では、体内の糖が足りなくなります。この不足を補うために始まるのが、筋タンパクの分解によるエネルギー生産です。
結果、筋肉量が減少し肌のハリが失われて、見た目の若々しさが損なわれる可能性があります。
つまりまとめると、問題になるのは「長時間の強い運動負荷を掛けたランニング」「紫外線対策をせずに行う屋外ランニング」「エネルギー不足状態でのランニング」です。有酸素運動は健康維持に効果的な運動ですが、やり過ぎは禁物です。
特にランニングは「ランナーズハイ」と言われるように幸福・満足感があるため、オーバーワークになりやすい傾向があります。自分でも気づかないうちにやり過ぎてしまう可能性があるので、注意しましょう。
ファイナンシャル・プランナー、作業療法士、ライター 奏かえで
健康・マネー系ジャンルを中心にライターとして活動。現役の作業療法士で回復期病棟を経験しつつ、介護老人保健施設に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランナー(FP)・簿記の資格を持ち、新旧NISA・iDeCoへの長期投資を継続中。専門性を生かした記事執筆が強み。
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