6月の花嫁は幸せになれるって本当?「ジューンブライド」の起源、日本での歴史も解説
2024.6.9 水浦裕美
6月に行われる結婚式や、式を挙げる花嫁のことを「ジューンブライド(June Bride)」と呼び、「ジューンブライドは幸せになれる」といわれます。なぜ、6月の結婚だけ特別視されるようになったのか、その起源を探ってみたいと思います。
6月に結婚すればローマ神話で結婚を司る女神に祝福される!
「6月の花嫁は幸せになれる」という伝承はヨーロッパが起源です。ローマ神話に登場する女神・ユーノーにまつわる説が起源の1つだと考えられています。ユーノーはギリシャ神話の最高神ゼウスの妻・ヘラと同一視される女神で、結婚と出産の守護神とされています。
ユーノーはアルファベットで「Juno」と表記され、6月を意味する「June」の語源。ローマ神話では1月から6月までそれぞれの月を守る神様がいるのですが、6月を守っているのがユーノー。ユーノーは結婚の守護神であることから、6月に結婚をするとユーノーに祝福され、幸せになれるといわれるようになったようです。
農作業も落ち着き、天候の良い6月は結婚式のベストシーズン
ジューンブライドの2つ目の起源は、ヨーロッパの農作業に由来する説です。現代とは違い、中世のヨーロッパではほとんどの人が農業に従事していました。農業技術も進んでいないこの時代では、3〜5月と11月は畑の準備や種まきのシーズン、7〜9月は収穫、10月は収穫した作物の加工などが行われていました。6月は他の月と比べると時間的な余裕があったためたくさんのカップルが6月に結婚し、6月は祝福ムードに満ちていたという説です。
日本では6月は雨のシーズンですが、ヨーロッパでは気温が上がり晴天の日が続きます。可照時間が最も長くなって日没が遅く夜まで楽しめることから、結婚パーティを開くのにも最適な時期なのです。
キリスト教では復活祭の前日までの約40日間を「四旬節(しじゅんせつ)」、11月30日に最も近い日曜日からクリスマス前日までの4週間を「待降節(たいこうせつ)」とし、この期間には結婚式などのお祝い事をすることが禁止されていました。四旬節はその年によって異なりますが、2月から4月であることが多いため、四旬節が過ぎ、天候に恵まれ農作業が落ち着いた6月が結婚式を挙げるのにベストなタイミングだったのかもしれません。
ホテルの戦略で日本ではジューンブライドの伝承が浸透
日本にジューンブライドの言い伝えが広まったのは、1960年代後半だと言われています。日本では1923年に日本で初めてホテルウエディングが帝国ホテルで行われ、1960年代になると、先日惜しまれつつこの世を去ったデザイナー桂由美さんがウエディングドレスのサロンを開業したり、芸能人の豪華なホテルウエディングがテレビで放送されたりと、人々がホテルウエディングに憧れるようになりました。
ただ、日本では6月は梅雨シーズンのため、その頃になると結婚式を挙げるカップルがあまりいませんでした。その問題を解決しようと、ある老舗ホテルが着目したのがジューンブライド。「6月に結婚式を挙げると幸せになれる」とキャッチコピーを打って宣伝したことで人々の間でジューンブライドの言い伝えが浸透し、6月に結婚式を挙げることを夢見る女性が増えていきました。
昔から言い伝えられていることなら、6月に結婚すれば本当に幸せになれるような気もしますよね。結婚を予定している人は、6月の挙式をぜひ検討してみるのもいいかもしれません。
女性誌編集部を経て、2011年よりフリーの編集ライターとして活動。 女性誌を中心に、メンズ誌、WEB媒体、書籍、企業の販促物などの制作に携わる。 美容、ライフスタイル、タレントインタビュー、マネー企画などを幅広く担当。 プライベートでは、3歳&1歳男の子のママ。
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