【新じゃが注意点】光・湿気・低温が苦手! 発芽や緑化に気をつけて! 常温保存が理想的な理由は? 栄養士ライターが解説
2024.6.5 野村ゆき
水分が多く長期保存が難しい「新じゃがいも」。この記事では、春夏が旬の“新じゃが”を、できるだけ長く楽しむための保存のコツや注意点を解説したいと思います。
“新じゃが”はデリケート! 寒さ・湿気・光が大嫌い
秋冬に出回る一般的な“熟成系じゃがいも”と異なり、水分が多く長期保存が難しい「新じゃがいも」。この記事では、春夏が旬の“新じゃが”を、できるだけ長く楽しむための保存のコツや注意点を解説したいと思います。
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保存ポイントと注意点
室温と湿度が低い秋冬に出回る一般的なじゃがいもは、ビニール袋に入ったままや、袋から出した裸の状態で常温保存しても長持ちしやすい傾向にあります。ですが、春夏が旬の “新じゃが”を同じように扱うのはNG。湿気と光の多い場所を避け、常温保存するのがセオリーです。次の保存ポイントと注意点を参考にしていただけたら幸いです。
●ビニール袋から出す
ビニール袋に入れたままだと、特に湿気の多い梅雨時期は傷みやすくなってしまいます。必ずビニール袋から出し、新聞紙やキッチンペーパーで1個ずつ包んで、湿気を防ぐ×風通しの良い環境を作ってあげてください。
●光をあてない
これは“新じゃが”に限らず、通年のじゃがいもに共通する重要な注意点です。じゃがいもは日光や蛍光灯の光にあたると発芽や緑化しやすく、ソラニンやチャコニンという天然の毒素(グリコアルカロイド)を生成してしまいます。腹痛や吐き気、頭痛などの中毒症状を引き起こすことがあるため、芽や緑色になった部分は包丁で必ず取り除いてから調理するようにしましょう。
ちなみに、冬から春の寒い時期はりんごと一緒に新聞紙などに包んで保存すると、りんごが出すエチレンガスがじゃがいもの発芽を防ぐと言われています。
●常温保存する
じゃがいもに含まれるビタミンCは、でんぷんに守られているため加熱に強い性質があります。実は、貯蔵温度5?10℃の暗所にじゃがいもを保存すると、でんぷんの分解が起こらずビタミンCの残存率が高く、グリコアルカロイドも生成されにくいとされています。一方、低温で長期間冷蔵保存するとでんぷんの一部が分解されて還元糖が増え、そのまま揚げ物や炒め物に使うと、健康に悪影響を与える可能性がある有害物質のアクリルアミドができやすくなります。冷蔵庫の野菜室の温度設定はメーカーによって2?6℃や3?8℃など一定ではないため、冷えすぎになるかもしれません。
なお、アクリルアミドは120℃以上の加熱調理で食材に含まれる水分が少なくなると多く生成されやすくなります。揚げすぎや焦げすぎには要注意。ポテトフライやジャーマンポテトなどを作るときは気をつけてください。
一方、煮る・蒸す・ゆでるなど水を利用した調理ではほとんど生成されないため、冷蔵保存してしまったじゃがいもは、肉じゃがやポテトサラダなどに利用すると良いでしょう。
まとめ
秋冬が食べごろの一般的なじゃがいもと比べて、水分が多い新じゃがはデリケートで長期保存には不向き。大量ストックは避け、1~2週間単位で食べられる量を買うようにして、できるだけ早く使い切るのが良さそうです。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、下村道子・和田淑子編著『新調理学』光生館,2018、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018、農林水産省Webサイト
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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