LASISA

Search

【新茶】普通のお茶との違いは? 日本茶の栄養ポイント・茶種・おいしい淹れ方のポイントを栄養士ライターが解説

2024.5.10 野村ゆき

2024年5月1日は、八十八夜でした。この時期だけに楽しめるのが「新(水)茶」です。八十八夜は立春から数えて88日目にあたり、古くから八十八夜に摘み取られる「新茶」は、不老長寿の縁起物として重宝されてきたそうです。この記事では、新茶をはじめとする日本茶にまつわる栄養や豆知識をご紹介します。

新茶は一般的な緑茶と何が違うの?

▲八十八夜の茶摘みは日本の初夏の風物詩!▲八十八夜の茶摘みは日本の初夏の風物詩!

 実は、「新茶」は緑茶の「煎茶(せんちゃ)」と同じものです。煎茶は緑茶の約8割を占める最もポピュラーな日本茶で、茶葉を摘みとる時期で呼び方が変わり、八十八夜の時期に最初の新芽を摘みとった「一番茶」を「新茶」と呼んでいます。お米の新米みたいですね。新茶(一番茶)の最盛期は産地で異なり、4月半ばごろから5月末ごろにかけて日本列島の南から北へ桜前線のように北上。新茶が摘まれた後は「二番茶」「三番茶」「四番茶(秋冬番茶)」と続きます。

新茶はリラックス効果が高い!

▲新茶に多い「テアニン」の癒しパワーで、リラックスしましょう▲新茶に多い「テアニン」の癒しパワーで、リラックスしましょう

「新茶」の魅力は、フレッシュな香りと上質な味わいです。うまみ成分であるアミノ酸の一種「テアニン」が二番茶以降の煎茶よりも多く含まれ、新茶特有の味と香りを生み出しています。「テアニン」は脳をリラックスさせる機能性が注目され、ストレスや睡眠、うつ病、認知症との関係などの研究が進んでいます。疲れを感じたときに「お茶でホッと一息つく」のは理にかなった生体防御の習慣といえそうです。

緑茶の苦みや渋みにも役割がある

▲渋み×苦み成分が多い二番茶以降の煎茶は食事のお供にも◎▲渋み×苦み成分が多い二番茶以降の煎茶は食事のお供にも◎

 二番茶以降は新茶よりも日照時間が長くなるので、うまみ成分の「テアニン」が「カテキン」へ変質し、お茶らしい渋みを感じやすくなります。「カテキン」はポリフェノールの一種で、緑茶には主に4種類のカテキンが含まれ、食事中のコレステロールや脂肪の吸収を穏やかにしたり、老化や生活習慣病を招く活性酸素の攻撃を食い止めたりする高い抗酸化力が注目されています。

また、緑茶の苦み成分である「カフェイン」には、覚醒作用や利尿作用、胃酸分泌を促して食べ物の消化吸収を助ける働きがあります。眠気覚ましの「カフェイン」とリラックス作用を促す「テアニン」が、アクセルとブレーキのように穏やかに働きあうのも緑茶の特徴です。

微量ながら壊れにくい緑茶のビタミンC

ほかに、緑茶で注目したい栄養成分が「ビタミンC」で、緑茶1杯分(煎茶・侵出液100ml)には6mgのビタミンCが含まれています。果物やフルーツジュースに比べると含有量は微量ですが、緑茶には糖質がほとんど含まれていないのでダイエット中でも気兼ねなく飲めます。しかも、緑茶のビタミンCはカテキン類に守られ、壊れにくいとされています。「朝茶はその日の難逃れ」ということわざもありますので、朝食後、仕事中、おやつの時間など、こまめに緑茶を飲んでビタミンC補給を兼ねてはいかがでしょうか。

いろいろな日本茶の種類と特徴

▲左から、煎茶、玉露、玄米茶、ほうじ茶。同じ日本茶でもバリエーション豊か!▲左から、煎茶、玉露、玄米茶、ほうじ茶。同じ日本茶でもバリエーション豊か!

日本茶には煎茶のほかに、玉露、番茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶などの茶種があります。それぞれのお茶の特徴をまとめたので、ご参考に。

●煎茶
緑茶の代表的なもので生産量が最も多く、茶葉を摘み取るタイミングで、新茶(一番茶)、二番茶、三番茶などと呼ばれています。また、製造の蒸し時間でも「普通煎茶」「深蒸し煎茶」「特蒸し煎茶」などの呼び名も。茶葉の収穫時期と蒸し時間でテアニン、カテキン、カフェインのバランスが変わります。

●玉露(ぎょくろ)
茶葉が日光にさらされないよう遮光し、日陰で育てた柔らかい葉から作られるのが特徴。日本茶の中で最上級のお茶とされています。テアニンとカフェインが多く、深いうまみと甘み、苦みが調和した、まろやかな味わい。

●番茶(ばんちゃ)
「晩茶」とも呼ばれ、硬くなった葉や茎を加工したお茶。一番茶や二番茶の間に遅れて出た葉や冬前や春先に刈り取った葉や茎も使われています。テアニン、カテキン類、カフェインのいずれも煎茶より少なく、さっぱり淡白な味わい。

●ほうじ茶
下級煎茶または番茶を焙煎したもの。番茶よりさらに成分は少なくなりますが、代わりに特有の香ばしい焙煎香を楽しめます。

●玄米茶(げんまいちゃ)
炒った玄米と茶葉の混合茶。焙煎した米と茶の香りと味が調和し、温和で軽い味わいが楽しめます。茶葉が少ない分、カフェインや渋みが少なめ。

●抹茶(まっちゃ)
玉露と同じように茶樹に覆いをして育てた碾茶(てんちゃ)を、石臼で挽いて微粉にしたお茶。ほかのお茶と異なり、製造工程で揉まずに作られています。テアニン、カテキンともに多く、濃厚な味わいで苦み、渋みが強め。

次ページ……日本茶のおいしい淹れ方ポイント

栄養士・編集ライター 野村ゆき

編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。

tags

この記事の関連タグ

recommend

こちらもおすすめ