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【今が旬】春を告げる「タケノコ」の栄養ポイント 生と水煮の栄養価の違いは? エグみの正体は? 節の白い粒は食べて大丈夫? 栄養士ライターが解説

2024.4.7 野村ゆき

春の味覚を代表する「タケノコ」。旬のタケノコが、おいしい時期は限られた期間しかありません。この期間限定の「生タケノコ」と一年を通じて手に入る「水煮タケノコ」では、栄養価やおいしさは違うのでしょうか?エグ味の正体や、白い塊の謎まで、タケノコの疑問を解説します。

「タケノコ」の旬はいつ?

▲一般的なタケノコ「孟宗竹」。堀りたてはアクが少なく、時間が経つとエグみが増します。▲一般的なタケノコ「孟宗竹」。堀りたてはアクが少なく、時間が経つとエグみが増します。

 春の味覚を代表する「タケノコ」。漢字の「筍」は、一旬(いちじゅん=10日間)で竹になる成長の早さから名づけられたとか。それほど旬のタケノコが、おいしい時期は限られた期間。ところで、期間限定の「生タケノコ」と一年を通じて手に入る「水煮タケノコ」では、栄養価やおいしさは違うのでしょうか? この記事では、そんな疑問に迫ってみたいと思います。

 タケノコは、竹の地中茎から地上に伸びた若い芽の部分。実は竹にはさまざまな種類があり、春に野菜売り場に出回る食用タケノコの多くは、ずんぐりとしたフォルムが特徴の「孟宗竹(もうそうちく)」と呼ばれる品種です。一般的には3月ごろから九州地方で収穫が始まり、桜前線のように産地が北上し、5月ごろまで収穫されます。「朝掘ったらその日のうちに食べろ」と言われるほど、収穫後は時間の経過とともに鮮度が低下してしまいます。

▲タケノコの中では珍しい秋が旬の「四方竹」。アクが少ない特徴があります。▲タケノコの中では珍しい秋が旬の「四方竹」。アクが少ない特徴があります。

 なお、孟宗竹(もうそうちく)以外の食用タケノコの品種として、5~6月が旬の淡竹(はちく)、根曲がり竹、真竹(まだけ)、秋が旬の四方竹(しほうちく)などがあり、いずれも孟宗竹よりも細めです。

「タケノコ」に含まれる栄養の特徴は?

▲下ゆでした、旬のタケノコ。1/2本分で250~300g程度(実測値)」▲下ゆでした、旬のタケノコ。1/2本分で250~300g程度(実測値)」

 タケノコの栄養ポイントは、ミネラルであるカリウムの豊富さ。カリウムは体内の水分や筋肉の動きをコントロールする働きがあり、不足すると、むくみや筋肉のけいれんを起こしやすくなります。また、味覚を正常に保ち重要なホルモンを手助けする働きがある亜鉛も野菜類の中では多めです。

 不溶性食物繊維のセルロースも豊富で、独特のシャキシャキした食感のもとにもなっています。不溶性食物繊維には、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促す働きがあります。

 さらに、肉や魚ほどではありませんが、たんぱく質が野菜の中では多いことも特長。うま味の成分であるアミノ酸のグルタミン酸やアスパラギン酸も含まれています。

「生タケノコ」と「水煮タケノコ」の栄養価の違いは?

▲生タケノコ(ゆで)・水煮の栄養価の違い(可食部100gあたり)▲生タケノコ(ゆで)・水煮の栄養価の違い(可食部100gあたり)

 旬の「生タケノコ」と通年手に入る「水煮」では、栄養が違うのでしょうか。一般家庭では生食ではなく下ゆでして料理する場合がほとんどなので、生タケノコをゆでた場合と水煮で、注目栄養素の違いを比較したいと思います。

 特筆すべきは、カリウムとビタミン(葉酸もビタミンの一種)含有量の変化。どちらも水溶性のため、「水煮」の場合は栄養が流出により減ってしまいます。また、食物繊維と亜鉛も「水煮」の場合は減少しています。さらに、アミノ酸のグルタミン酸とアスパラギン酸も「水煮」より旬の「生タケノコ」の方が多く、うま味を感じやすいといえるでしょう。

 ちなみに、カリウムは腎臓疾患がある人にとって、とりすぎに注意したい栄養素の一つ。旬の「生タケノコ」の食べすぎに注意し、たくさん食べたい時は「水煮」を選ぶのが無難です(詳しくはかかりつけ医の指示に従ってください)。

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栄養士・編集ライター 野村ゆき

編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。

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