LASISA

Search

【行き渋りとは】起きられない、おなか痛い…新学期に「登校できない」子どもたちが増加!保護者の“心構え”を医師に聞きました

2024.4.4 LASISA編集部

まもなく迎える新学期。クラス替えや進級を控える4月、長期休み明けの9月は、子どもの「行き渋り」「登校しぶり」が起こりやすい時期です。実際に、登校日当日に「行き渋り」が起こった場合、保護者ができることはあるのでしょうか?前もってどのような心構えでいるべきでしょうか。「池上おひさまクリニック」院長の大和行男先生にお話を伺いました。

新学期は、行き渋り・登しぶりが起こりやすい

新学期は、行き渋り・登しぶりが起こりやすい新学期は、行き渋り・登しぶりが起こりやすい

 小中学校における不登校児童生徒数が29万9048人と過去最高となり、増加の一途をたどっています。まもなく迎える新学期ですが、クラス替えや進級を控える4月や、長期休み明けの9月は子どもの「行き渋り」「登校しぶり」が起こりやすい時期です。

 2021年(令和3年)の文部科学省の調査(不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書)によると、不登校経験のある子どもを持つ保護者へのアンケートで小学生・中学生の欠席時期は4月と9月が多い結果でした。

 一方で、4月は再登校・復帰がしやすいタイミングでもあり、「4月からは学校に行けるだろうか……」と、春休みの期間を不安な気持ちで過ごしている人も多いでしょう。

 今回は新学期を迎えるにあたり、保護者はどのような心構えでいるべきか、またどのような気配りが必要か、「池上おひさまクリニック」院長の大和行男先生にお話を伺いました。

行き渋りの原因はさまざま

行き渋りの原因はさまざま行き渋りの原因はさまざま

Q.「行き渋り(登校しぶり)」とはどのような状態でしょうか?不登校との違いは何でしょうか?

大和先生「登校しぶりは完全に学校に登校できなくなる不登校の状態になる前の、学校に登校する日もあれば登校しない日もある状態を指すと考えられます。

具体的には、『本人は前夜まで登校すると言ってランドセルまで準備している』のに、登校当日になると心身の不調を訴えて登校を嫌がる状態です。お子さんによっては親御さんが校門まで連れていけばそのままクラスに参加できるケースから、授業中も親御さんが一緒にクラス内にいないと授業参加できないケースまで多種多様です」

Q.行き渋りが起こる原因は何でしょうか

大和先生「これはさまざまな理由が考えられます。

1つは起立性調節障害や過敏性腸症候群などの身体的な不調があることで登校が困難な場合。

2つ目は担任の先生やクラスメイトと波長が合わない、いわゆる“環境不適応”を起こしている場合。

3つ目は周囲に対して“視線恐怖症”があったり、家を出るまでのルーティーン(決まり事)をこなすのに時間がかかって登校できないといったメンタルの理由が考えられます」

Q.「行き渋り」のサインがあれば教えてください

大和先生「一番大きなサインは休日や連休は朝から元気なのに学校がある日だけ心身の不調を訴える場合は、先の3つ目の要因が強く考えられます。ただし、過敏性腸症候群は登校日限定や日曜日夜に強く症状を出す場合もあります」

登校日に「行き渋り」が起こってしまったら…?

登校日に「行き渋り」が起こってしまったら…?登校日に「行き渋り」が起こってしまったら…?

Q.もし新学期に「行き渋り」が起きた場合、親が子どもに対し“やってはいけない”対応を教えてください

大和先生「本人の体調や精神状態を考慮しないまま、『学校に早く行きなさい』『そんなんじゃロクな大人にならない』などとお子さんを罰するような言動が該当します。

親御さんにとっても大きな心理的負担になりますが、まずは冷静にお子さんの心情に寄り添うようになさってみてください」

Q.当日に「行き渋り」が起きたら、親はどうすればいいでしょうか。

大和先生「まずは本人が登校することについてどう思っているのかを確認しましょう。

それも登校渋りを起こしている朝ではなく、親御さんもお子さんも穏やかな気持ちで話し合える時間帯に確認することが良いでしょう。

そこで身体的不調が強く疑われる場合は小児科のかかりつけ医に相談なさってください。学校に理由がありそうな場合は担任の先生に学校での様子を聞くのも良いと思います。
もしメンタルの不調があればスクールカウンセラーや児童精神科にぜひご相談ください」

※ ※ ※

 登校日の前日まで「明日は学校に行けそう」「今日は元気だからきっと大丈夫」そう思っていても、当日の朝に「行き渋り」は起きてしまうかもしれません。

 その際、子どもの心を傷つけないためには身近な家族の対応が重要です。行き渋りが起きないか不安な気持ちで過ごしている人は、前もって“心構え”をしておいてみてはいかがでしょうか。

医師 大和行男(やまと・ゆきお)

東京大学文科Ⅲ類教育学部を卒業後、約2年間の会社員生活を経て、新潟大学医学部に入学。同大学を卒業後、東芝病院・東京大学医学部付属病院で初期臨床研修を行う。また、東日本大震災の被災者が多く移住した山形県の公徳会佐藤病院・米沢駅前クリニックで精神科研修のほか、精神科急性期治療と児童精神科専門外来の指導を受ける。 その後、埼玉県の済生会鴻巣病院で依存症治療を経験し、横浜市と川崎市の児童精神科の勤務などを経て、2024年1月に池上おひさまクリニック(東京都大田区)を開業。

tags

この記事の関連タグ

recommend

こちらもおすすめ