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【おしごと図鑑】タクシー運転手が「避けたい」客・街・日付とは?【東京タクシー百景vol.5】

2024.3.24 橋本英男

タクシードライバーが見た東京の実相とは――? 今回は、大ベテランでも「できれば避けたい」と思う客、街、に付けについて。

流しのタクシーが捕まらないのも「宜なるかな」

東京の街を行くタクシーのイメージ東京の街を行くタクシーのイメージ

 全国には20万台超、東京だけでも4万台超が走っているタクシー。都市と都市をつなぐ高速道路、大動脈たる幹線道路、抜け道の裏ルートや、数々の住宅が立ち並ぶ路地裏まで、国内のあらゆる道を知り尽くした運転手たちが「できれば避けたい」と考えるまち、シチュエーションとはどのようなものでしょうか。熟練ドライバーの筆者が、これまでの経験を基に「避けた客・い街・日付」などを語ります。

「書き入れ時」と思いきや避けたい大規模イベント

 東京都内には大きな花火大会が多くあります。江戸川河川敷の葛飾公園納涼花火大会、2万発も打ちあがる隅田川花火大会、音楽イベントもある神宮外苑花火大会は、人出が100万人に膨れ上がる。タクシーにして盛れば客は入れ食い状態です。

 しかし実は、ほとんどの運転手はこうした会場付近へは行きたがりません。近くへ入ると、交通規制による大渋滞と人混みの混雑で客を運ぶどころじゃなくなるからです。仮に客を乗せたとしても、なかなか周辺を抜け出せず疲れ切ってイライラした客からのクレームにつながる例もあると聞きます。

 こうした事情を知らない新人は勇んで現地へ飛び込んでいって、結局のところ稼げないという失敗を経験し一人前となります。要は、商売にならない。都内どこでも客だらけだから、わざわざそんな危ない区域に行かなくても、となるのです。

 そもそも、車での来場を禁止し公共交通機関を利用するよう促している大会は多いため、当然タクシーでの移動も不向きと言えます。

 家族連れで花火を見たければ、帰路のタクシーなど基本的には当てにせず、できるだけラッシュを避けて電車に乗るか、夜空に打ち上がる大輪の花火を見ながら1駅2駅のんびり歩いてみてはどうでしょうか。

 このような大規模イベントの日付やスケジュールは、タクシー運転手は当然ながら頭に入れて車を走らせています。

次は……全国ニュースにもなる「例のイベント」は近寄らない!

元タクシー運転手、ライター 橋本英男

タクシーのハンドルを握って40年。その傍らライターとしても活動し、自著も複数ある。東京の交通事情に詳しい。

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