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SNSで話題「大谷選手と妻・真美子さんが似てる…」人は似た顔・雰囲気の人にひかれる?心理カウンセラーが解説

2024.3.22 佐藤城人(さとう・しろと)

類似性で好きになる心理~見知らぬ他者~

図1:「見知らぬ他者」図1:「見知らぬ他者」

 初対面の人と会話をする際、何かの共通点を見出すことにより、打ち解けることができます。例えば出身地や趣味などです。これらの共通点があると二人の距離感が狭まります。このように出会いの場合、最初は「類似性」が重要と言えます。

「見知らぬ他者」という有名な実験があります。アメリカの心理学者ドン・バーンが大学生を対象に行ったものです。実験の内容と結果は次の通りです。

【実験の内容と結果】
1.さまざまな社会現象に関するアンケートを実施し、それぞれの項目に関して、賛成から反対までの6段階で答えてもらいます
2.他人が回答したアンケート結果を見せ、その人物の魅力を評価してもらいます。他人のアンケート結果は、本人が回答したアンケート結果に似たもの、異なるものなどを、いくつか予め用意しました。

 実験の結果、アンケートの結果の類似度と、その人物に対する評価には相関関係があることがわかりました。さらに、類似度が高ければ高いほど、その人物を魅力的と評価していることも判明しました(図1)。この実験からわかることは、私たちは共通点が多い人にひかかれるということです。「類は友を呼ぶ」ということわざもなるほど、と実感できます。

類似性で好きになる心理~単純接触効果~

 では、そもそもどうして私たちは、共通点に親近感を持つのでしょうか?これには、接触する回数が影響するようです。

「単純接触効果」とは、繰り返し同じ刺激に接触することで、その刺激に親近感を感じる現象のことです。心理学者ロバート・ザイアンスによって提唱されたため「ザイアンス効果」とも呼ばれます。接する回数に応じて、私たちはそこに親近感を持ちます。

 コマーシャルなどはこの効果を取り入れているものです。目にする回数に応じて、その商品への認知度を高め、購買意欲につなげることがCMの狙いです。ただし、この単純接触効果には、気をつけたいことがあります。最初にストレスなどで相手に不快な思いを持たれてしまうと、回数に応じてその不快感が増してしまうことです。

 では日常生活の中で、私たちが接する回数が多い人物は誰でしょう……?
→答えは、自分自身や家族です。従って、自分と似た人に対してはストレスではなく、安心感が得られ、好感度を高めることができます。自分で自分のことを好きな場合「(自肯定感感が高い場合)、自分に似たタイプを好きになるのは自然なことと言えますよね。
さらに、「似たもの同士」という場合、次第にお互いが似てくるという現象も起きます。

類似性で好きになる心理~同一化~

「同一化」とは、自分にとって重要なものと自分自身を重ね合わせることで、次第に同じ傾向を示すようになることです。

 最初は異なる点が多かったとしても、お互いがひかれ合い尊重することにより、結果的にお互いが似た者になっていきます。「最初から似た者同士だったから好きになる」こともありますし、「好きになったからこそ似た者同士になる」ということも、十分に起り得ることです。

 なお、この同一化、生まれて初めて同一化する相手は自分の親といわれます。少なくとも愛情を持って親が子どもに接するのならば、子どももその思いに応えようとしますよね。先天的な遺伝子ではなく、親子が似る後天的な要因でもあります。

 ここまで「類似性」についてみてきました。後半は「相補性」についてです。相補性は、関係性が深まるにつれて大切になってくるものです。

次のページ……自分の正反対の性格の人にひかれる心理は?

心理カウンセラー・心理セラピスト 佐藤城人(さとう・しろと)

心理カウンセラー・心理セラピスト。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには社交不安障害や愛着障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。インナーチャイルドの回復プログラムの中で「正しさよりも心地よい生き方」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。

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