【麻疹(はしか)】どんな病気?妊娠中のリスクは?妊活中・妊婦さんが“今”できること 産婦人科医に聞きました
2024.3.21 LASISA編集部
はしかの流行が懸念される中、妊活中の人や妊婦さんは、はしかの対策ができるのでしょうか。もし感染してしまったらどのように行動すればいいのでしょうか。「Ladies clinic LOG原宿」院長・清水 拓哉先生にお話を伺いました。
妊婦、妊活中の女性から不安の声
世界的に流行している「麻疹(はしか)」。日本でも感染者の報告が相次ぎ、感染の拡大が危惧されています。はしかの予防で有効とされているのが「ワクチン接種」です。
中でも気をつけなければならないのが「ワクチン空白世代」だと言われています。成人で感染すると重症化リスクがあり、この空白世代に当たる人は、感染に気をつけなければなりません。特に妊娠中の感染は、さまざまなリスクが伴います。「Ladies clinic LOG原宿」院長・清水 拓哉先生は、「妊娠中の患者さんやその家族から、はしかが不安だという相談が増えている」と話します。
妊活中の人や、妊婦さんははしかの対策ができるのでしょうか。もし感染してしまったらどのように行動すればいいのでしょうか。清水先生にお話を伺いました。
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Q.麻疹(はしか)とはどのような病気でしょうか。
清水先生「麻疹(はしか)はパラミクソウイルス科の麻疹ウイルスによる感染症です。感染してから10日~12日の潜伏期間(症状がない時期)を経て、高熱、せき、鼻水、結膜炎といった風邪の症状が2、3日持続します。のちに、口の中のほほの裏側に小さな白いぶつぶつ(発疹)ができます。
一旦は熱が下がりますが、再度、熱が上がり、体中に赤い発疹ができます。発疹は5~6日経過すると消えていきます。7~10日間で解熱して回復します。
特別な治療法は存在せず、対処療法のみになります。解熱剤を使用しながら安静に過ごして治療します。細菌感染を同時に発症することもありますので、抗生剤を使用することもあります。通常は入院が不要ですが、まれに脳炎や肺炎などの重症合併症を引き起こすこともあり、入院管理が必要になる場合もあります」
Q.麻疹(はしか)の感染経路を教えてください。
清水先生「麻疹(はしか)に感染したヒトに接触したり、麻疹の感染者のつばや咳にウイルスが含まれています。同じ空間で過ごすだけで感染することもあります。
感染経路は飛沫感染、空気感染、接触感染の3つがあります。
ヒトからヒトへ感染し、感染力はウイルスの中でも非常に強いとされています。抗体を持っていないヒトが感染すると、ほぼ100%の確率で麻しんにかかります。
麻疹に免疫力がないような集団に1人の麻疹感染者がいたとすると、12~14人が感染すると言われています。インフルエンザでは1~2人程度なので、感染力が非常に強いことが実感できます。
発症の5日前から発疹が出て、解熱後3日を経過するまでは周囲へ感染させる可能性がありますので外出は避けて下さい」
Q.「ワクチン空白世代」などと、接種状況に世代差ができてしまっているようです。どのような経緯があるのでしょうか。
清水先生「2024年3月時点の年齢別の麻疹ワクチン接種歴です。
・1972年9月30日以前に生まれた方(52歳以上):麻疹ワクチンを接種していない可能性が高い世代。
・1972年10月1日~1990年4月1日に生まれた方(34~52歳):麻疹ワクチンの定期接種を1回実施している世代。
・1990年4月2日~2000年4月1日に生まれた方(24歳~34歳):麻疹ワクチンを1回実施している世代。中学1年または高校3年生のときにキャッチアップで2回目を接種している可能性もあり。
・2000年4月1日以降に生まれた方(24歳以下):定期接種として2回接種を受けている世代。
麻疹ワクチンが定期接種となったのは、1978年10月1日からです。対象者は1歳~6歳児で、当時はワクチン接種の回数は1回のみでした。2006年4月2日から麻しん・風しん混合生ワクチンが導入され、同年から2回接種が開始されました。
2007年に麻疹が全国で流行したため、2008年4月1日から5年間の特例措置として中学1年生と高校3年生でワクチン接種が受けられるような機会が設けられました」
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