「食べないダイエット」はなぜ太るのか? 内科医が解説、“正しい減量”の方法も
2023.11.10 LASISA編集部
「食べないダイエット」はデメリットが多いと聞きます。どういうことなのでしょうか? 内科医が解説します。
とにかくやせたい、確実にやせたい、と思ったとき、食事量を極端に制限する「食べないダイエット」に挑戦する人がいます。食べないので体重は増えず、やせられることも多いのですが、「体に悪い」「リバウンドする」といったデメリットも耳にします。実際はどうなのでしょうか。戸塚西口さとう内科(横浜市戸塚区)院長の佐藤孔信さんに聞きました。
肉体的・精神的にさまざまな弊害が起こる
Q.まず、食事量を極端に減らす「食べないダイエット」は、一時的にであれば体重を落とせる方法でしょうか。
佐藤さん「そもそも『やせる』とは、食事などからの摂取エネルギーより、身体活動による消費エネルギーが上回り、不足分のエネルギーを体に貯蔵されている脂肪からエネルギーに変換して補い消費されることによって起こります。
よって、食事量を減らし摂取エネルギー < 消費エネルギーの状態が継続されると、個人差はありますが体重は落ちていきます。
しかし、ただ単に食事量を極端に減らすと、エネルギーだけでなく栄養不足も起こるため、肉体的・精神的な健康へのさまざまな弊害が生じます」
Q.具体的にはどのような弊害がありますか。
佐藤さん「まず、炭水化物が不足すると脳のエネルギー不足を招き、集中力が低下したりイライラしやすくなったり疲労感を感じやすくなる恐れがあります。また、炭水化物には糖質以外にも食物線維が含まれるため、便秘につながりやすくなります。糖尿病など疾患のある人は低血糖のリスクもありますので注意が必要です。
たんぱく質が不足すると、まず筋肉に蓄えられているたんぱく質を分解してエネルギーを生み出そうとします。筋肉量が減ることで基礎代謝の低下や、高齢の方の場合ADL低下の恐れがあります。また、たんぱく質は内臓や皮膚、髪の毛など身体をつくる栄養素であり、ホルモンや酵素の材料にもなるため、肌や髪の毛のトラブルが起きたり、免疫力が低下し体調を崩しやすくなる恐れがあります。
他にも必須栄養素が不足すると骨粗しょう症、貧血、月経異常などさまざまな健康を損なうリスクにつながります」
Q.「食べないダイエット」で、リバウンドしやすい、やせにくくなる、と言われる理由について教えてください。
佐藤さん「私たちには『基礎代謝』といって内臓や脳、神経、呼吸などの生命活動を正常に保つために必要な最低限のエネルギーがあります。年齢によって差はありますが、18~29歳では男性で約1500kcal、女性で約1100kcalと、生きていくためにこれだけのエネルギーを必要とします。
食べないダイエットでリバウンドしやすいと言われる理由は、摂取エネルギー量が必要エネルギー量を下回ると身体が飢餓に備えるためにエネルギーの吸収率を上げて消費エネルギーを下げるため、太りやすくやせにくい体へと変化するためです」
戸塚西口さとう内科・院長。 専門は糖尿病や腎臓病等、多岐にわたる。「対話を大事に、患者様からのsignを見逃さない」医療を目指し、幅広い診療科の医師、スタッフとともにチームで診療にあたっている。また、病診連携・診診連携の体制をしっかり整え、より早期に包括的な医療の提供を心掛けている。
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