秋田から世界へ!“稲庭うどん”で巻き起こすイノベーション うどんの切れ端から発泡酒を開発
2023.9.29 LASISA編集部
「稲庭うどん小川」は、秋田名産の稲庭うどんを日本を始め世界に広く発信していくプロジェクト「TENOBE INOVATION」に2021年から取り組んでいます。「稲庭うどん小川」専務の小川選子さんにさまざまなプロジェクトに取り組む意図を聞いてみました。
稲庭うどんをもっと知ってほしい
乾麺製造販売を行う「稲庭うどん小川」(秋田県湯沢市)が、クラフトビールメーカー「羽後麦酒」(同羽後町)と共同開発した「INANIWA HAPPOUSHU-稲庭発泡酒」を、2023年10月20日(月)に再販します。
「稲庭うどん小川」は、日本の手延べ乾麺ブランドとして、秋田名産の稲庭うどんを日本を始め世界に広く発信していくプロジェクト「TENOBE INOVATION」に2021年から取り組んでいます。
第1弾は「パッケージデザインのリニューアル」、第2弾は「稲庭うどん専用めんつゆの発売」、第3弾は「フランス・パリで行われた展示会参加」、そして第4弾に「クラフトビール開発」を手がけています。
「稲庭うどん小川」専務の小川選子さんにさまざまなプロジェクトに取り組む意図を聞いてみました。
「稲庭うどんは約400年の歴史がある伝統的な産業です。独特の4日間かけた手作りの製麺技法により、唯一無二の味わいがあり、全国のお客様からご愛顧いただいている製品です。
しかし、生活スタイルの変化や食の多様化により、日本国内の乾麺市場は縮小の一途をたどっていました。業界に新風を巻き起こしたいと2019年からリブランディング事業に着手しました」(小川さん)
今回再販されるクラフトビール開発の経緯について、「稲庭うどん小川」が抱える課題の一つに“食品ロス”があったと言います。
「湯沢市で運営するビジネス支援センター『ゆざわーBiz』というサポート拠点があります。センターで廃棄料の値上がりについて相談した折に、何か活用できないか協議しました。
ちょうど同じタイミングで、羽後麦酒様も『地域商材とのコラボ商品を作りたい』とご相談されていたことでマッチングしました」(小川さん)
うどんの端材を活用
稲庭うどんの製造工程でどうしても生じるのが3センチメートルほどの端材を活用したいと考えていた小川さん。
「これまで廃棄する端材は月200キログラム程度ありました。2023年4月頃から、老人ホームや子ども食堂など秋田県内の事業所5カ所に寄贈させていただいていることもあり、ほとんど廃棄はなくなりました。
端材のさらなる活用を模索した結果、秋田県の地元企業とのクラフトビール開発にたどり着きました」(小川さん)
こうして生まれた「INANIWA HAPPOUSHU-稲庭発泡酒」は、2023年7月に発売され、初回生産分300本が約2週間で完売。
小川さんは、今回の再販について「多くのメディアに注目され、再販を望む声が多かった」とし、「限定600本の再販に踏み切りました」と言います。
さて、気になるのが「稲庭うどん」からできた発泡酒のお味でしょう。
「味わいは最初に塩の香りがします。しかし、決して塩辛いわけではありません。若干の苦みとキレの良さがあり、飲んだ後には豊かなアロマな香りが口の中に広がります。色は、きれいなレモン色をしています」(小川さん)
「あまりの反響の大きさに初回生産300本は少なすぎた…と反省しました」と小川さん。
「『うどんからできた発泡酒を飲んでみたい』との声が多く寄せられました。実際に飲んだ人からは、『塩の香りのビールが珍しい』『暑い夏にはピッタリのテイスト』『食中酒やお休み前のくつろぎタイムが楽しめる』『アルコール度数が4.5%で女性にも飲みやすい』と好評です」(小川さん)
再販場所は、湯沢市、横手市の道の駅・個人店の他、秋田市内のお土産販売店、「羽後麦酒」のオンラインショップでも手に入れることができるそうです。
販路を開拓し、海外へ
これまでのプロジェクトの反響について、小川さんは「おかげ様で、パッケージ変更により、オンラインショップの売上増加・全国量販店様での新規取り扱いも増えました。また、海外への販路開拓では現在34か国まで輸出実績を伸ばしています」と説明します。
また、さらなる“稲庭うどんイノベーション”を起こすべくすでに動いていることを明かしてくれました。
「食の多様化に対応すべく植物性由来の原料のみを使用した稲庭うどん専用『ビーガンつゆ』を開発しました。現在、クラウドファンディング『Makuake(マクアケ)』にてテストマーケティングを行うため準備を進めています」(小川さん)
進化する「稲庭うどん」が世界中で名の知られる存在になる日も近いかもしれません。
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