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日曜夕方に気分が落ち込む「サザエさん症候群」とは?対処法は?臨床心理士が解説

2023.10.15 LASISA編集部

「明日から会社だ…」「明日は学校に行かなきゃ…」休日も終わりかけた頃、翌日の仕事や学校のことを考えて憂鬱な気分になることはありませんか?このネガティブな気分を「サザエさん症候群」と呼ぶことがあります。サザエさん症候群はそもそもは病気ではありません。しかし、毎週繰り返したり、気分の落ち込みが激しかったりする場合、精神的にも身体的にも支障が出てくると言います。臨床心理士の町田奈穂さんに、サザエさん症候群の原因や、対策を聞いてみました。

日曜夕方に気分が落ち込む「サザエさん症候群」とは

休日の終わりかけの気分の落ち込みの正体は?休日の終わりかけの気分の落ち込みの正体は?

「明日から会社だ…」「明日は学校に行かなきゃ…」休日も終わりかけた頃、翌日の仕事や学校のことを考えて憂鬱(ゆううつ)な気分になることはありませんか?このネガティブな気分を「サザエさん症候群」と呼ぶことがあります。

 サザエさん症候群はそもそもは病気ではありません。しかし、毎週繰り返したり、気分の落ち込みが激しかったりする場合、精神的にも身体的にも支障が出てくると言います。臨床心理士の町田奈穂さんに、サザエさん症候群の原因や、対策を聞いてみました。

Q.「サザエさん症候群」とはどのような状態を指すのでしょうか。改めて教えてください。

町田さん「休みが終わる日曜日の夕方に、明日から始まる仕事のことを考えて憂鬱な気分になることを、毎週日曜日の18時半に放送されている国民的アニメ「サザエさん」を用いて、「サザエさん症候群」と呼ばれています。

海外でも“休日明けの憂鬱な月曜日”として知られており、「Sunday Night Blue(サンデーナイトブルー)」、「Blue Monday(ブルーマンデー)」と呼ばれています。

2018年に「江崎グリコ」が、20~50代の成人計1200人を対象に行った「憂鬱な曜日に関する実態調査」の結果によると、働く男性の77%、女性86%、専業主婦の62%が“月曜日が最も憂鬱である”と回答しており、他の曜日(高くても30%)と比較すると月曜日の憂鬱さが際だって高いことがわかります。

年代を比較すると20代の男女がそれぞれ88%、90%と最も高い割合で回答していました。
男女で比較すると、女性の方がやや高い割合で辛さを感じることが多いようです」

「サザエさん症候群」の症状

Q.サザエさん症候群が引き起こす精神的な症状、身体的な症状を教えてください。

町田さん「精神的な症状には、『憂鬱な気分』『不安』『ソワソワする』『眠れない』などが、主に挙げられます。

身体的な症状には、『食欲不振』『頭痛』『吐き気』『だるさ』『身体の痛み』『発熱』『涙が出る 』
などが、主に挙げられます。

どの症状も、『病院に行くほどではない』『なんとなく調子が悪いな』、と感じられるような程度の重さが多いようです」

Q.サザエさん症候群と間違えやすい病気はあるのでしょうか

町田さん「サザエさん症候群と間違えやすいものとしてはうつ病が挙げられます。どちらも憂鬱な気分になることが特徴です。

しかし、サザエさん症候群は主に日曜日から月曜日の休み明けに一時的に精神的・身体的な症状が表れるのに対して、うつ病では2週間以上症状が続くことが特徴です」

毎週なる、気分の落ち込みが激しい場合は注意

Q.サザエさん症候群に毎週陥ってしまう場合、また気分の落ち込みが激しい場合に対策はあるのでしょうか。

町田さん「一番大きな原因としては、仕事や学校でのストレスが挙げられます。心が『行きたくない』と悲鳴をあげており、それが精神面や身体的な症状を引き起こしていると考えられます。毎週続く場合は、そのストレス源をしっかりと探し、特定することがまず大切です。そして、そのストレス源に対して対処法を取っていきましょう。

ストレス源として考えられるのは、『体力的な厳しさ』『業務量の多い、少ない』『業務の難しさ』『人間関係』『相談する人がいない』などです。

業務量やプレッシャーは多いということはストレスになるイメージがありますが、逆に少なすぎる、仕事を任せてもらえない、こともストレスになり得るのです。

また、責任感が強く一人で抱え込み癖のある方、相談する上司や同僚がいない、家族や友人にも話しにくいと八方ふさがりになっているケースも少なくありません」

「サザエさん症候群に陥らないために最も大切なことは、仕事のストレスを溜め込みすぎない、身近に相談できる人を確保しておくことです。

ストレスを溜めないために、小さなことも相談する癖をつけておくことが大切なのです。

また、「休日の寝溜め」は生活リズムを乱してしまいますのでおすすめしません。生活リズムが乱れると、睡眠習慣も乱れてしまい、日曜日に眠りづらくなるなどの悪影響も考えられます。

寝不足が憂鬱な気分を増長させるという研究結果があることから、休日の過ごし方としては、何もせずベッドの上で過ごすよりも、軽い散歩やカフェに行くなど何か小さな予定でもこなす方が休み明けを楽に過ごせるという見方もあります。

業務上では、大きなプレゼンテーションや重要な商談など、責任やプレッシャーの大きい仕事を週明けに予定しないこともおすすめです」(町田さん)

 町田さんは何度も繰り返される「サザエさん症候群」に注意を呼びかけています。

「一時的な症状であっても、何度も繰り返されることにより、さらに大きな精神的な疾病の原因となってしまうこともありますので、少しでも気になることがあれば病院やクリニックなどを受診しましょう。

薬での治療法がありますが、あくまで対症療法としての治療になりますので、臨床心理士や公認心理師などこころの専門家のカウンセリングを受け、根本的なストレス源の特定や対処法について考えていったり、セルフケアの方法を身につけたり、本来の心のしなやかさを作るための「認知行動療法」を受けてみてもいいかもしれません」(町田さん)

臨床心理士 町田奈穂(まちだ・なほ)

同志社大学大学院 心理学研究科修了。在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflowerを設立。現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として、精神・発達障害の人が活躍できるインクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサルタントとしての活動や支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。

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