「どうせ自分なんて」口を開けば“自虐”ばかり ネガティブ思考を改善する方法は? 専門家が解説
2023.11.3 LASISA編集部
つい自虐的なことを言ってしまう心理とは、どのようなものなのでしょうか。専門家に話を聞きました。
「どうせ自分なんて……」。そんな言葉が思わず口を付いて出ることはありませんか? それを聞いた周囲の人が「そんなことないよ」と言ってくれたとしても、気持ちが晴れるわけでもないのに。なぜ「自虐」はやめられないのか。企業経営コンサルティングや人材育成などを手掛けるミッションメンタリング協会の代表理事、篠田法正さんに聞きました。
根底には「生まれながらの本能」が関係している?
Q.そもそも、自虐的なことを言ってしまう心理とはどのようなものなのでしょうか。
篠田さん「意外にも、『どうせ自分はダメな人間だ』のように自虐的な人の多くは、実は心の奥底で無意識に『本当はダメじゃない、褒められたい』と思っているのです。
以下、東洋の思想をベースに解説します。
昔から東洋では、人間は生まれながらに守備本能・伝達本能・引力本能・攻撃本能・習得本能という5つの本能を持っていると考えます。
自虐的なことを言ってしまうのは、このうちの攻撃本能、『行動して実績を認められたい、プライドを保ちたい』という本能が、良くない方向に働いているのが原因です。
つまり、自分の実力や実績が認められないとき、人によっては、プライドを保とうとする攻撃本能が自分自身を攻撃し、自虐的になるということが起こり得るのです。そして、『どうせ自分なんて』と過度に卑下して、相手から『そんなことないよ、君はすごいよ』と言ってもらうことで、別の形でプライドを保とうとしているのです」
Q.自虐的なことを言ってしまう人、言わない人の違いはどんな点にありますか。
篠田さん「実力や実績が認められないとき、自虐的なことを言ってしまうのは、自分に自信を持てない人に多いようです。
一方、実力や実績が認められなくても、自分は自分、ありのままで素晴らしいという自己肯定感の高い人、自信のある人は自虐的になることはありません。攻撃本能は良い方向に働き、周りの期待を裏切らないように努力・研さんし、品性、品格を備えて本物のプライドにつながっていきます」
Q.自虐的なことを言ってしまう人に対して、掛けるべき言葉や取るべき態度とは、どのようなものでしょうか。
篠田さん「自虐的な人の心の奥底では、褒めてほしいという攻撃本能が働いています。ですから『どうせ自分はダメだ』という言葉に対して、『そんなことはないよ』と否定して慰める言葉は、実は逆効果です。無理に褒めたり、お世辞を言ったりしてもいけません。次もまたそれを言ってほしくて、自虐的な言葉を繰り返してしまうからです。
東洋の思想では、攻撃本能をうまく生かすのは引力本能と考えます。ここでいう引力本能とは、信頼と感謝です。
つまり、一番良いのは、その人に対して信頼していることを示し、感謝の気持ちで接することです。例えば『いつも~~してくれてありがとう』という言葉が良いでしょう。
もしくは、『え!? いつもこんなに感謝しているのに! あなたがいてくれて本当に良かったと私は思っているよ』など、相手が有用な存在であることを当然視している振る舞いをすることで、相手も安心感を得られるかもしれません。
時間は掛かるかもしれませんが、自分の存在価値を認められた本人は、次第に自信と勇気を取り戻していき、自虐の言葉が減っていくことになるはずです」
【画像で解説】「どうせ自分なんて」と言ってしまう理由は? 専門家が解説(画像6枚)
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