男女共通の肌悩み「大人ニキビ」は吹き出物ってホント? 防ぐ方法は? 医師が解説
2024.3.11 LASISA編集部
思春期に多い「ニキビ」の悩み、大人にできる場合は「吹き出物」と呼ばれることも多いですが、その違いは何でしょうか。予防法も含めて、医師に聞きました。
ニキビといえば、思春期にできる肌のポツポツというイメージですが、大人になっても同じような炎症が起こる場合があります。「大人のニキビは、ニキビではなく吹き出物」と言われることもありますが、「大人ニキビ」と吹き出物の両者の違いは何なのでしょうか? また、大人ニキビを防ぐ方法は? 美容皮膚などに詳しい、総合美容クリニック「広島ステーションクリニック」理事長の石田清隆さんに聞きました。
ニキビと吹き出物は同じ! しかし、原因に違いが…
Q.大人のニキビは「ニキビでなく吹き出物」などと聞くことがありますが、ニキビと吹き出物は違うものなのでしょうか?
石田さん「医学的には、ニキビも吹き出物も全く同じもので、どちらも正しくは『尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)』と言います。どちらもホルモンバランスの乱れが原因で、皮脂の分泌量が増えて毛穴が詰まり、皮脂を栄養とするアクネ菌の活動が増え、炎症が起こることでできます。
両者の違いは、ホルモンのバランスの乱れの原因が異なることです。
思春期のニキビは、成長に伴い、女子でも副腎からのアンドロゲンなどの男性ホルモンの分泌が増えることが大きな原因です。男性ホルモンは皮脂分泌を盛んにし、角質を厚くする働きがあるため、毛穴も詰まりやすく、ニキビをできやすくします。
さらに女子は、男性ホルモンと似た働きを持つ黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が活発になることも、ニキビのできやすさに影響します。思春期は、大人になるための過渡期でホルモンバランスが安定しにくく、皮脂が過剰に分泌され、尋常性ざ瘡ができることが多いのです。
一方、ホルモンバランスが落ち着いた大人は、生活習慣の乱れが主因で、成長期とは異なるホルモンバランスの乱れを生み、肌のターンオーバーの阻害や、皮脂の過剰分泌などが加わって毛穴が詰まることで起こります。この時期の尋常性ざ瘡を、『吹き出物』あるいは『大人ニキビ』と呼んでいます。
成人の尋常性ざ瘡の原因には、次のような生活習慣や環境が挙げられます。
(1)ストレスによるホルモンバランスの乱れ
(2)不規則な生活(偏った食生活・睡眠不足・過労など)
(3)間違ったスキンケア
(4)便秘
(5)加齢による皮膚のバリア機能の低下
(6)月経前のホルモンバランスの乱れ
つまり、まとめると、
・『思春期ニキビ』は、成長に伴った皮脂の過剰分泌による尋常性ざ瘡
・『吹き出物』あるいは『大人ニキビ』は、生活習慣の乱れが主体でできる尋常性ざ瘡
と言えます」
Q.思春期のニキビと、大人の吹き出物は、できやすい場所などに違いがありますか?
石田さん「ニキビは、額や鼻筋など皮脂の分泌が盛んなTゾーンにできやすく、吹き出物は皮脂が少ない頬やあご、口周りのUゾーンにできやすい傾向があります」
Q.大人のニキビは、どうすれば防げますか?
石田さん「前述の通り、夜更かしや偏った食事、ストレス、便秘などの生活習慣の乱れは、ニキビができやすくなるので避けましょう。
ニキビの予防には、栄養も非常に大事です。特に若い女性は月経があると、多くの場合、貧血はなくても鉄不足に陥っています。鉄分の多いレバーや赤身のお肉を食事で取るよう心掛けましょう。
それでも、十分と言えない場合が多く、ヘム鉄のサプリメント(多くは10mg以上/日)を取ることをおすすめします。併せて、ビタミンCのサプリメントも1日2g以上取ると効果が増強します。
また、脂質の分泌を整え、皮膚の合成、正常な分化を促すため、ビタミンB群、亜鉛、ビタミンAの適度の摂取も非常に有用です。これらは、栄養学による予防法で非常におすすめです」
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