初夏の訪れを告げる「サクランボ」。老化やサビを防ぐ抗酸化作用や疲労回復パワーに注目! 栄養士ライターが解説
2025.6.17 野村ゆき
サクランボが店頭に並び始めると、季節は初夏。今回はサクランボの栄養をクローズアップしたいと思います。
サクランボの栄養を解説

小さくて愛らしい姿と甘酸っぱさが人気の「サクランボ」。桜の実を意味する「桜の坊(さくらのぼう)」が変化して、「さくらんぼう」から「さくらんぼ」と呼ばれるようになったとか。サクランボが店頭に並び始めると、季節は初夏です。サクランボ狩りを楽しむ人も、いらっしゃるかも知れませんね。この記事では、サクランボの栄養をクローズアップしたいと思います。
サクランボが「赤い宝石」と呼ばれる理由

「サクランボ」は桜の木に実るフルーツですが、ソメイヨシノなどの観賞用の桜とは異なる品種(サイヨウミザクラなど)の木に実ります。一日の寒暖差が少ないと甘くなりにくいため産地が限られ、雨にあたると実が割れてしまうなど栽培に手間がかかることから国産は希少価値が高く、「赤い宝石」の呼び名もあります。
抗酸化作用があるシアニジンとβカロテンが豊富
サクランボの代名詞でもある艶やかな赤色の果皮には、ポリフェノールのアントシアニン系色素の一種「シアニジン」が含まれています。抗酸化作用がある成分として知られ、疲れ目の回復や毛細血管の強化、生活習慣病や老化の原因となる活性酸素を抑える働きが注目されています。また、ほかの果物と比べてβ(ベータ)-カロテンが豊富な点もサクランボの特長。β-カロテンも強い抗酸化作用で知られる栄養素です。国産品種はβ-カロテンの含有量が特に多く、アメリカ産チェリーの4倍以上も含まれています。
甘酸っぱさに疲労回復の成分が凝縮
サクランボの清涼感のある酸味は、りんご酸やクエン酸によるもの。また、甘みは果糖(フルクトース)やブドウ糖(グルコース)によるものです。酸味と甘みの栄養がバランス良く含まれているため、疲労回復効果が期待できます。さらに、疲労回復を助けるアスパラギン酸、コラーゲンの生成を助けるビタミンC、不足すると筋肉のけいれんやむくみの原因になりやすいカリウムも含まれ、日焼け対策や熱中症予防の観点からも初夏におすすめの果物なのです。
まとめ
サクランボは追熟しない果物です。買うときは、果皮にハリとツヤがあり、色鮮やかなものを選ぶようにしましょう。果肉がやわらかく傷みやすいため、できるだけ早く食べきるのがベスト。長時間、低温に置いておくと実が締まりすぎて甘みを感じにくくなるため、常温の風通しが良い場所で保管し、食べる2時間くらい前に冷蔵庫で冷やしていただくのがおすすめです。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、三輪正幸監修『からだにおいしい フルーツの便利帳』高橋書店,2015、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて40代で社会人学生となり、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題に関する情報+好奇心のアンテナをボーダーレスに広げ、分かりやすい記事をモットーに執筆中。
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