下心ゼロの完璧バチェラー「バチェラー・ジャパン」シーズン6(3〜4話)、なぜ“本命”を明かさないのか?
2025.6.12 北村有
「バチェラー・ジャパン」シーズン6(3〜4話)を考察! 誠実すぎるバチェラーの心情が読めない…、数々のデートで見せる表情に注目。本命としてリードしている女性は誰?
感情が読めないバチェラー?

※ネタバレあり※
Prime Videoで独占配信中の恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」シーズン6。舞台はマレーシア、バチェラーは30歳の医師・久次米一輝。誠実で知的、育ちの良さと穏やかさを兼ね備えたまさに“令和の王子様”と話題だ。SNSでは「完璧すぎるバチェラー」と称賛が相次いでいる。だがその一方で「じゃあ誰が本命なの?」というもどかしさも広がりつつある。誠実で平等であるがゆえに、むしろ見えてこない恋心。本記事では、久次米バチェラーの人物像とその“読めなさ”を軸に、3〜4話を振り返る。
3話では、女性陣との個別の会話がいくつか描かれたが、そのなかでも少し気になったのは久次米の反応の“ズレ”だ。
たとえば、90歳のおばあちゃんの話題を聞いたときに「元気なんですね」と返す場面。そこは単なる健康の話ではなく、もっと感情の深い話だったのでは? と思わずツッコミたくなる。彼の母親が以前語っていた「視野が狭い」という言葉がふと脳裏をよぎる瞬間だった。
辻本菜々子の末っ子気質に気づけなかったのも象徴的だ。言葉選びは丁寧なのに、相手の“背景”や“内面のクセ”をつかむ感度には少しギャップがあるのかもしれない。誠実であることと、機微を読むことは別の能力なのだ。
会話の心地よさや素の自分を出せているという点で、辻本菜々子は頭ひとつ抜けているように見える。久次米もどこか自然体で会話している印象があり、同い年ということも手伝ってか、安心感が漂う。とはいえ、久次米は明確に特別扱いをしているわけではない。むしろ意識的に“平等”を保とうとしているように見える。それがかえって視聴者には「で、誰が好きなの?」というもどかしさを生む。
このあたり、歴代バチェラーのなかでもかなり上手にバランスを取っている印象がある。番組の構造を理解し、演出と誠実さの間で揺れているようでもある。
サプライズローズ配りすぎ問題と“特別感”の希薄さ

4話では、石森美月季とのホワイトローズデートが実現。初対面から「知り合い同士」という少し特殊な立場にいた二人だが、このツーショットでは関係性が一歩進んだ印象がある。
ピザを作りながらのリラックスした空間で、久次米が家族の話をするなど、これまで見られなかった“私生活の自分”を開示。石森も「やっと恋愛対象として見てもらえた」と感じたのではないか。
サプライズローズの意味合いが、恋心の表れというより「ここからは、より対等に向き合いたい」という宣言に近いように思えた。
それはそうと、今シーズンの久次米バチェラー、正直サプライズローズを渡しすぎていないか? デートのたびに誰かしらが、ローズを手にしている。彼が誠実な姿勢を示しているのは間違いない。しかし、視聴者としてはもう少し「本命はこの人」とわかるような、深い入り込みも見てみたい。
全員をちゃんと知ろうとする姿勢が裏目に出て、「誰に惹かれているのか分からない」という印象を与えてしまっているのかもしれない。
誠実すぎるバチェラーの恋の行方は?

3話では田崎樹理亜と河地柚奈が、4話では杉浦香寿紗と小川栞奈が脱落。田崎は熱量が高すぎたのに対し、河地は最後の手紙で少し距離を詰めたが、時すでに遅し。杉浦と小川は悪印象があるわけではないものの、ほかの参加者との比較で埋もれてしまった印象がある。
共通しているのは、久次米との“温度差”があったこと。そして、限られた時間のなかで自分をしっかり印象づけられなかったという点だ。
相手の気持ちを尊重し、自分の気持ちも少しずつ開いていく。久次米一輝は、恋愛リアリティ番組にありがちな“エゴ”のない、誠実なバチェラーだ。
しかしその分、恋心のアウトラインがぼやけているのも事実。このまま「全員を尊重したまま」旅を終えるのか、それとも「ひとりに向けた特別な想い」が見えてくるのか。完璧すぎる王子様の恋の選択は、どの方向に傾くのか。
「バチェラー・ジャパン」シーズン6(概要)
「バチェラー・ジャパン」シーズン6はPrime Videoより独占配信中(全9話)
6月12日(木)20時 第5話-第7話
6月19日(木)20時 第8話-第9話
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0F8JK81MR/ref=atv_dp_season_select_s6
ライター。2019年に独立。主に映画やドラマ関連のレビューやコラム、インタビュー記事を担当。主な執筆媒体はtelling, / ぴあWeb / CYZO ONLINE / TRILL / LASISAなど。映画館と純喫茶が好き。
recommend
こちらもおすすめ