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浮気も嫉妬も、全部ひっくるめて愛だと言える? レス・浮気・嫉妬が交差する「ウェディングウォーズ」中盤戦

2025.6.6 北村有

ABEMAの恋愛リアリティショー「ウェディングウォーズ」5〜6話を振り返る! 好きだけでは完結できない…“歩み寄る覚悟”が試される。

カップルは“ふたり”でつくるもの?それとも“まわり”で育つもの?

(C)AbemaTV, Inc.(C)AbemaTV, Inc.

※ネタバレあり※

 恋愛リアリティ番組「ウェディングウォーズ」の5〜6話では、参加カップルたちの関係性にさまざまな揺らぎが訪れた。ゲームやミッションの勝敗以上に見逃せなかったのは、共同生活を通して浮かび上がる価値観のズレ、すれ違い、そして深まる絆だ。番組の目玉である脱落デスマッチが展開されるなか、今回はとりわけ「関係の閉じ方」と「他者との開き方」のバランスが問われた回でもあった。愛情と嫉妬、信頼と裏切り、そのすべてが“結婚”というリアルな未来に照らされたとき、参加者たちはどんな選択をしていくのか。その痛みと覚悟が色濃く浮かび上がるエピソードだった。

 さやか&ハトミカップルは、今回もっとも揺れた存在だった。浮気未遂が明らかになり、さやかの不安とハトミの障害への葛藤が噴出する。ハトミには性的な問題もあり、それがさやかとの間に物理的・心理的な距離を生んでいた。

 そんななかで、さやかは「パートナーに言えないことをしている時点で浮気」と捉え、未遂で止まったとしても自己嫌悪を感じていたという。対してハトミは、自らの特性や背景を受け止めつつ「自分のために全部を変えてほしいし、自分も変わる」と伝える。

 この二人のやりとりから浮かび上がるのは、“ふたりきりの世界”への閉じこもりだ。ハトミとりあらの会話にさやかが強く嫉妬するようになり、彼女の視野はどんどん狭くなっていく。「誰にもとられたくない」という思いはわかるが、その感情が自分たちの関係性を内側から壊していくこともある。

 一方、対照的だったのはかおこ&大野カップル。事前インタビューをもとにした「愛の二択クイズ」では、相手の回答を完璧に当てるほど、お互いへの理解度が深い。見守る他の参加者たちからも「見ていて気持ちがいい」と絶賛の声が上がる。

 かおこは「大野くんには私が必要だし、私にも大野くんが必要」と話す。二人の間にあるのは、恋愛感情だけではなく、信頼という名の土台。時間をかけて築いた関係性は、トラブルが起きても揺るがない。まさに、ふたりの関係が“開かれている”からこそ、周囲からの応援も受け入れられるのかもしれない。

レス、浮気、すれ違い…それでも“歩み寄る覚悟”が試される

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 マミモン&柴助カップルの物語も印象的だった。柴助はファンと浮気してしまい、マミモンに対して信頼を失っていた。「いまは信じられないから、行動で示してほしい」と言われた柴助は、ひろむに相談し、自らの気持ちを整理する。

 あらためてマミモンに対し「好きだし、ずっと一緒にいたい。マミモンが喜ぶことをしていくから、見ていてほしい」と言葉にする柴助。その真摯さは、失った信頼を“時間”と“行動”で取り戻そうとする誠意として、しっかりと伝わっていた。

 恋人同士であっても、信頼は一度壊れると再構築に時間がかかる。しかし、再構築に挑もうとする意志があるかどうかが、次の関係性を決める。マミモンの「いまは信じられない」という言葉には「それでも関係を切り捨てたくない」という気持ちが裏打ちされているようだった。

別れ際に芽生えた“本当の向き合い”

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 脱落を余儀なくされたなおき&りあらカップル。しかしその別れは、決してネガティブなものではなかった。なおきは結婚に対して経済的な不安を抱いており、それをりあらが理解しきれないという“すれ違い”があった。

 だが、りあらは他の参加者との会話を通じて「もっと相手の話を聞くこと」「分かろうとする姿勢」の大切さに気づく。そしてなおきに「時間はかかるけど、直していきたい」と素直な気持ちを伝える。

 このやりとりには、別れ際にこそ育まれた“本当の向き合い”があった。たとえ番組上は脱落という形でも、お互いの心に残ったのは、次のステップに繋がる大事な気づきだったのではないだろうか。

“ふたり”だけで完結しない関係のかたち

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浮気も嫉妬も、全部ひっくるめて愛だと言える? レス・浮気・嫉妬が交差する「ウェディングウォーズ」中盤戦〜6話は、浮気や嫉妬、すれ違いといった“関係のひずみ”を描きながらも、決してそれを断罪しない。むしろ、そうした揺れのなかにこそ「本音」があり、「歩み寄り」があり、「成長の兆し」があることを見せてくれる。

 結婚とは、単に「好きだから一緒にいる」だけでは続かない。相手の弱さを知り、自分の弱さをさらけ出し、それでも一緒に歩んでいける関係こそが真のパートナーシップだ。

 誰かと生きるということは、閉じたふたりの世界にとどまることではなく、ときには第三者の意見や周囲との関係性をも取り入れながら、自分たちをより良く保ち続けることなのかもしれない。

「ウェディングウォーズ」が描くのは、恋愛バトルではなく、いわば“関係性のリハーサル”だ。5〜6話は、そのリアルさと痛みがにじむ、見応えある回だった。

【動画】「ウェディングウォーズ」(5話予告)

 北村有

ライター。2019年に独立。主に映画やドラマ関連のレビューやコラム、インタビュー記事を担当。主な執筆媒体はtelling, / ぴあWeb / CYZO ONLINE / TRILL / LASISAなど。映画館と純喫茶が好き。

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