《盗難》《災害》で損失が…(涙)! 少しでも “取り戻す” ため、知っておきたい「雑損控除」とは【FPていねい解説】
2025.5.3 奏かえで
いざというときのために知っておきたいお金の知識。ファイナンシャルプランナーが解説します!
「いざ」に備えて知っておこう

災害や盗難で大切な財産を失ったとき、税金の負担を軽くできる「雑損控除」。いざというときに備えて知っておきたい減税制度です。この雑損控除の対象や計算方法、申告手続きについてファイナンシャルプランナー(FP)が解説します。損害を少しでも取り戻したい人は、ぜひ参考にしてください。
雑損控除の対象損失と資産のまとめ
雑損控除の対象となるのは、主に災害、盗難、横領などによる突発的な損失です。ただし、詐欺や恐喝は対象外なので、注意が必要です。
この控除が適用されるのは、納税者本人や同じ家計の家族(その年の総所得金額などが48万円以下)が持つ「生活に必要な物」に限られます。自宅や家具、通勤用の車などが該当しますが、投資用不動産や事業用の資産、趣味で購入した車などは含まれません。
控除を受けるには確定申告が必要で、原則として損害を受けた翌年の2月16日から3月15日までに申告します。もし期限が過ぎてしまっても、5年以内であれば申告や修正が可能です。
雑損控除の計算方法を分かりやすく解説!
雑損控除は次の二つの式のうち、金額が大きい方を選びます。
(1)差引損失額 – 総所得金額など × 10%
(2)差引損失額のうち災害関連支出額 – 5万円
「差引損失額」は自分が実際に負担した損害金額のことで、次の式で計算します。
差引損失額 = 損害金額 + 災害関連支出額 – 保険金などで補てんされた金額
・損害金額
資産の時価(被害を受ける直前の価格)を基にして計算した金額
・災害関連支出額
修理や撤去費用など、被害に関連して支払った金額
・保険金などで補てんされた金額
保険金や損害賠償金として受け取った金額
例として、次のケースで計算してみましょう。
総所得金額:400万円
損害金額:200万円
災害関連支出額:30万円
保険金の補てん額:100万円
計算式(1):(200 + 30 – 100) – (400 × 10%) = 90万円
計算式(2):30 – 5 = 25万円
この場合、金額が大きい(1)の90万円が控除額となります。
ファイナンシャル・プランナー、作業療法士、ライター 奏かえで
健康・マネー系ジャンルを中心にライターとして活動。現役の作業療法士で回復期病棟を経験しつつ、介護老人保健施設に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランナー(FP)・簿記の資格を持ち、新旧NISA・iDeCoへの長期投資を継続中。専門性を生かした記事執筆が強み。
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